投稿日: Jun 12, 2013 12:56:18 AM
日本人はコミュニケーション下手と思う方へ
猪瀬さんはほくそ笑んでいるに違いないがトルコが大規模なデモで政情不安になっているような報道が続いている。今国連に加盟しているような国は何らかの議会制民主主義的な仕組みをもってはいるが、その運用実態は全く千差万別で、「民主主義」という抽象的な概念は定まったものではない。北朝鮮も正式名は朝鮮民主主義人民共和国を謳っている。北朝鮮には大規模なデモは発生していないが民主的な国だと思う人はいないだろう。
タイは長らく穏健な国民性だといわれていたのに政府を倒すような直接行動があって政情不安に思えたが、やはりさすがにひどい流血騒ぎは起こらなかった。中東はイスラエル対パレスチナやシリアの内戦など騒ぎが起こると大惨事になる最もぶっそうなところである。このようなコントラストの中で、日本的民主主義はどのような性格をもったものだろうかと考えてみるのもよいかと思う。
結論からするとムラ社会である。村長さんが良い人ならみんな平和に暮らすし、困難には皆で協力し合って立ち向かう。なにしろ明治以前は警察などなかったのである。また藩も独立採算で他からの支援は受けないでいたので飢饉が起こった。それを救うことは考えられていなかった。
中東で対立が鮮明になるのは族長時代の名残のように思え、イスラム教宗派対立もそれに絡んで、個人が集団に隷属するような雰囲気だ。日本でも戦国時代は対立や戦争が絶えなかったが、それは武士に限られ一般民衆同士が対立していたわけではない。日本は縄文時代からムラしかなかったのだろう。今でも地方自治体の首長の殆どは無所属で、国政の政党政治とは別の政治体制が行われることが多い。これは直接民主主義的で良い面もあるが、自分たちだけの世界を作りがちだ。
一般的に欧米の民主主義の背景にはキリスト教的な人類愛とか博愛があって、ムラとか地縁とは隔絶した人権をベースに民主主義のモデルが考えられたように思うが、それを日本人が理解するにはもう100-200年はかかるのではないかと思う。むしろ欧米に多く出かけていったり留学生を送り込んでいる中国の方が理解するのが早いかもしれない。欧米で孤立した生活を経験した共産党幹部の子息たちは欧米の人権感を理解する機会があるわけだ。
日本のネットの言説で実に子供っぽいヘイトが多いのも、閉鎖的でお互いに同じような言葉ばかり繰り返しているムラ的思考ではないだろうか。そこには人権とか抽象化して物事の是非を判断するということや、真理を求めてロジックを構築することが欠けている。だからオープンなコミュニケーションが苦手になってしまう。
日本が欧米のようになればよいというのではないし、そうはならないと思うのだが、ムラ思考の欠陥を補って、世界に通用する日本人なり自分というのは考えておいた方がよいだろう。