投稿日: Sep 13, 2010 11:37:7 PM
もうTVの時代は終わったと思う方へ
先日のAppleTVの発表は少しコケた感じもあったが、この先にはGoogleTVが控えているし、過去から何度もWebTVのような話は出ては消えているのが、またいろんなものが復活してくるだろう。過去との違いは、TVの放送やコンテンツにぶら下がるようなビジネスモデルではなく、ネット側に主体的なビジネスモデルが作られつつあることだ。インターネットに接続したコネクトテレビについては、5年後には今のTVの50%に、10年後には75%に、という予測もある。日本の地上波デジタルで「上り」回線が普及していないことについては、「従来メディア半減時代へ」では既存メディアが新たなことに投資できないからだといったが、ネット側にアイディアややる気があるならば、両者の融合でTVディスプレイの使い道が増えていく可能性は多くありそうだ。おそらくTVをつけっぱなしでダラダラ見るライフスタイルが無くなるとは思えないので、ここをいろんな情報サービスの入り口にすることは理にかなっている。「ダラダラ見」が嫌な人は、自分でお気に入りの何かを設定すれば言いだけの話である。
しかし問題は、「TVとは何か?」に移ってくる。歴史的には一家団欒のお茶の間劇場として登場した。老若男女を対象にしていた時はおそらく家のモラルという枷があったのだろうが、一人ひとりがTVを持つようになってオタク系に象徴されるパーソナルな指向のメディアでもあるようになった。これはパンドラの箱をあけるようなことであり、深夜~未明のTV通販のごとく、個人の欲望を解放するものに近づいていって、ネットの世界と近くなっていると思える。コネクトテレビではさらにTVはパーソナルなところまで浸透するということになろうが、反面で大型画面とか3Dによって、お茶の間劇場の復権があるかどうかという点も興味が持たれる。新しい作り手が加わってTVの黎明期のようになるかどうかである。
コネクトテレビの明るい面は、使いやすさであろう。記事「家電文化との決別」では、家電のリモコン操作のユーザビリティの悪さというか時代遅れのことに触れたが、今日のようにケータイ、ゲーム機、PC、スマートフォンなどいろんなものが身の回りにあると、番組表と、見る・録画・再生と、どの画面に出すか、という組み合わせはいろんな可能性があり、ほっておくと混沌としたものとなってしまうだろう。それを解決するサービスとしてコネクトテレビもあるのだろう。今DVDを出先でiPadで見ようと思うと、事前にmpeg4にエンコーディングし直しに何倍も時間がかかる。そんなことをするならDVDそのものとノートPCを持って出かけたほうが手っ取り早い。こういう面の使い勝手は次第にTVとネットの連携で解決していくだろう。
コネクトテレビが壊すことになるのは、TVのチャンネルであろう。雑誌タイトルのようにTVチャンネルというブランドの価値は、番組とかコンテンツがバラ売りされるようになると薄まる。今YouTubeのコンテンツを見る際に、元がどの局で放映されたかなどは気にしないのと同じであるし、すでに録画の世界もTVチャンネルからコンテンツを独立させるものとなっている。そうなるとCMで成り立っている民放は、1次のCM付放映の視聴者が減って、2次的なCMなしの視聴者が増えることの対策をしなければならない。自分の局に留まってもらう、あるいは頻繁に訪れてもらうための工夫がされれば、TVは面白い方向にいくであろう。
いずれにせよ、人々はTV画面を見続けるであろうが、従来の放送そのままは半減し、それ以外の楽しみを持つようになるのだろう。