投稿日: Jul 28, 2011 10:38:56 PM
クラウドでHDDレスにしたい方へ
YouTubeやニコ動といった動画サービスの次のステップとして、Ustreamのような制約の少ない動画共有サービスがある。UstreamのコンセプトはTV放送のようなリアルタイム・ライブの配信と動画のネットワークストレージの2面がある。実際にはリアルタイム性の活きる用途よりは、時間に制約されないネットでの動画共有の方がニーズが高いだろう。しかしUstreamでも一旦保存してしまうと、ダラダラした動画は見づらいのでどうしても編集をしたくなる。ネット上にある動画のトリムができるような試みもあるが、現状では実用的とはいえない。スマホのカメラもきれいになって、撮影後すぐにネット上に保存するものもあるが、静止画の編集でもクラウド型アプリは操作性が悪すぎて、画像データをダウンロードしてローカルPCのアプリでやったほうがサクサクできる。
つまり撮影時点ではクラウド利用はできても、編集のクラウド利用が追いついていないのである。記事『努力を惜しまなければコンテンツは蘇る』では野球中継とネット速報(データ)が連動していない現状のことを書いたが、録画動画に後から無駄部分のカットやメタデータの挿入を簡単にできるアプリケーションのクラウド化をするのがこれからの課題である。クラウド化すれば個人の能力を超えた共同作業ができるようになる。クライアントのローカルPCやLANにデータを置くとデータ管理しなければならなくなり作業者の負担になるし操作ミスやデータの損傷も起こる。そこはクラウドに任せてローカルはユーザインタフェースに特化するのがいい。しかしHDDレスにするにはローカルのSSDとかキャッシュメモリを桁違いに大きくする必要がある。きっとクラウドの利用拡大にしたがって、ローカルPCのメモリも桁違いに増えていって、ディスクレスの作業が実現するであろう。
クラウドの編集環境は別に動画だけにメリットがるわけではなく、CGであっても紙の出版物であろうとも、あらゆるメディアに恩恵をもたらすものとなるだろう。今でも中国やベトナムに大量のコンテンツ加工を外注しているが、日本ではデザインは一人がやっているような場合がある。また校正はそれぞれの専門家に分散させてお願いしなければならない。こういった作業のための個々のツールはすべてデジタル化とかネット上でのコラボになりつつある。しかしそれら全体の作業管理はまた別個のアプリになっていて作業そのものと連動していないのが現状だ。これもそれぞれのクラウド化とともに連動しやすくなる。
ストリーミングのような動画のネット利用のためには、ネット上のあちこちに大容量のキャッシュが配置されて、一度に大量のアクセスがあってもさばけるようになっている。Webサーバーも高負荷の場合はいろいろな仕掛けがある。こういった一般には見えない技術が今後はクラウドとLANやローカルPCの利用の局面にも移ってきて、PCは情報の生産性を桁違いに高めるために使われるようになるだろう。世の中ではタブレットで何でもできてPCはいらないように思う人もいるが、メディアのビジネスを仕掛ける側はこういった技術をうまく取り込む必要がある。