投稿日: Aug 06, 2012 1:30:6 AM
負け慣れしてしまった日本をみる方へ
日本経済がバブルの崩壊・失われた…年というのを経て、結局は成長期を脱皮した成熟期のビジネスに転換することができなかった。家電からLSIまで工場による生産の拡大で企業を成長させるパターンから抜け切れていない。バブル崩壊後に韓国・中国の生産力が向上したことと真っ向から対決するようなことをしていたのは、日本の会社の経営陣の頭が環境変化に対応できなくなっていたからだ。しかし今でも経営を引き継いでいるのはその時代に管理者であった人たちで、それでは会社の方向転換はできそうにない。こういう膠着状態に対して「大企業ザマミロ」的な書き込みがネットには多いが、中小もベンチャーも実は同じようなものだと思う。
若い人に権限を委譲したり意欲的な新人を採用して事業の活性化を狙うところは多いが、この間の日本の失われた20年の間に社会に出た人というのはほとんど成功体験をもっておらず、いくらどこかの成功物語を聞かせて意欲付けをしようとしても、個人的に受け入れる素地がないのではないかという人もいる。例えば新入社員で入ってから一度も自分の携わる業務が黒字を出したことがなく、毎年事業が赤字の中で給料をもらっていると、税金のごくつぶしのようにいわれる公務員と同じような民間サラリーマンになっているだろうという。みんな自分の生計を立てることを第一にして、自分の仕事が黒字になるように知恵を絞って貢献しようという志向がなくなるのではないか、というのだ。
これはある程度あたっていると思うし、そういったサラリーマンにモチベーションをセミナーで植えつけようとしても無駄だろう。新人採用はしなければならないわけだが、このようなサラリーマンにならないような人材を区別して育てる必要があるのだろう。よくハングリー精神というが、何がハングリーなのかは時と場合によって変わる。Steve Jobs のように金持ちでもハングリーさを感じる人もいる。彼のように現状に満足しないことがイノベーションを起こすための大きな要素である。iモードに象徴されるケータイ有料コンテンツがスマホ時代にうまくバトンタッチできなかったように、スマホというイノベーションにふさわしい情報サービスを渇望する経営者でなければ、スマホ時代に活躍することはできないであろう。
既存の企業からなかなかイノベーションが起こらなくなってしまったので、若い人にベンチャー起業を勧めるのだが、ベンチャーもうまく成功してしまうと安住しようとして次段階で失敗することが大半である。mixiもそれなりに努力はしていたのであろうがイノベーションの方向は野心的なものではなく、後に登場したSNSの方が今後拓けるコンセプトを掲げていたりした。たかだか数年間コンセプトにおけるイノベーションができなかっただけで大きなビハインドになるのがITベンチャーである。こういった会社は社内の合議や株主の顔色よりも、10年先をみた経営者自身の大きな野望が重要で、それを実現するイノベーションを次々に起こすことが伴わないとレースには参加できない。
ベンチャーでも当面の会社の財務をまわすことは大事ではあるが、それだけで会社が成長するわけではなく、イノベーションにドライブされずに財務中心に考えると受託開発とかBPO会社になってしまうのがオチである。