投稿日: Aug 26, 2010 11:28:14 PM
広告評価は意見が分かれると思う方へ
東芝のスペシャルコンテンツ(スペコン)「20XC」のキャンペーンが8月23日に始まって、twitter上で話題になった。高広伯彦氏http://twitter.com/mediologic自身もtwitter上の投稿にこたえて、この企画の意図やゴールを巡ってハッシュタグ#20XCで議論がされた。このキャンペーンはWebの動画・アニメを見ていくうちに大容量SDカードの宣伝だなと気づき、自分のtwitterフォロワが背景に出たりして、あなたの残したいものは?という問いがあって、入力するとそれが宇宙を漂うみたいな筋だったと思う。もともとキャンペーン映像なので真剣に見ていないので、いったい何が起こっているのかキョトンとしているうちに終わってしまう。仕掛けとしては投稿された情報がtwitterで流れ出すというもので、サイトを訪れていない一般のネットユーザーにまで伝播するという実験のように思う。
twitter上の反応は最初に業界関係者が絶賛して、一般のネットユーザーもオオッと思って見てコメントした。反応は宇宙への旅的なビジュアルの完成度と、「残したいものが永遠に宇宙を漂う」的なコピーのインパクトであった。素人さんは後者をリツイートしていた。しかし一方で「こんなのことして何になる?」というコメントも徐々に出てきて、この種の議論はtwitter上ではキリはつかなくて、グダグダした書き込みが続いた。企画者はメモリカード製品の説明をしても仕方がないので、ブランディングが意図であったようだが、TVCMとWebには違いがあることを前提としながら、両者をブレンドしたもののように思えた。
私自身は正直言って釈然としないものがあったのだが、それが何であるかわかったのは8月25日あたりに『東芝のSDXCメモリーカードが世界を巡るWebドラマ「彼方から…」中嶋朋子さんの朗読で配信開始 』 の記事を読んだ時だった。メモリーカード「20XC」は64GB製品があって、それが将来2TBまで拡張できる規格がある。しかし本当にそんな製品が必要なのか? そもそもこの製品自身が東芝の大ボケのように思える。Webドラマを誰が企画したのか知らないが、世界を画像情報が巡るのにメモリーカードはいらないではないか! Facebookが写真共有で近年盛り上がったのを知らないのだろうか。要するに東芝がクラウド時代を全然考慮に入れていなと思われてしまうようなキャンペーンを金かけてやってどうする!
広告の役割をどう考えるのか。「製品の説明をしても仕方がないので」その金を使わせてもらって、もっと派手なことを、というのは本当の広告の役割だろうか。では世の中で10種の似た製品があったなら勝組は2くらいしかないわけだから、最初から負けと思える5種の広告はどうするのか。これは成果報酬にするしかない。つまり成果が考えられないものは受注しない広告ビジネスにすべきである。製品が不十分でも広告で何とかしよう、というのは誤解なのだから、そのようなことが起こらない方がいい。逆に成果の高いところからたくさんいただける方が、広告と事業の密接な関係が築けるだろう。この話はビジネスのことではなく広告論として、もっと突き詰められるべきだと思う。