投稿日: Sep 01, 2010 11:49:27 PM
広告の定義ができなくなった方へ
広告とはなんぞやと思ってWikiを見ても、それはアナログ時代の古典的な定義しか書いていなくて、今日人々が日常接している広告を捉え切れていない。大学には広告に関する授業もあるだろうが、教えている先生はどうしているのだろうか? これはメディア全般に言えて、地方大学のメディア関係の先生は、元マスメディア勤務のリタイアの人が多く、そこの資料などをみると、まあ古典的なこと! 昔話としては何らかの検討対象になるとしても、そこから学生を触発するのはどうするのか? と心配になるほどである。 もっとも現実に遺物のような広告活動もまだある。新聞の全面広告もそうで、さすがに一般企業が出稿することは減ったので、むしろ出ていると「裏に何かあるな」と勘ぐってしまうほどである。某新聞社が某コンピュータメーカーに発注したシステムが大幅な納期遅れで、お詫びに全く関係ない全面広告を出したことがあったという。
今日では企業のイメージ広告よりも通販とか旅などチラシ的な全面広告が主になっている。それならばいっそのことアメリカの新聞のように、チラシの分野を新聞社そのものを取り込めばいいようなものの、なぜか日本はアバボザライン・ビロウザラインみたいな話はしつつ、融合したビジネスには至らない。A/L、B/Lという区別はもうないと言っている広告代理店が動かないのでは、メディアの方も広告の変革を本気でやるには今までの広告代理店との関係を変えなければならない。TVで増えた通販の広告もそういう新しい関係の産物であるし、千葉の地域新聞社のようなドブ板営業が成果を出しているのも既存広告代理店と関係しなかった戦略のおかげである。
つまり昔からの広告には、形だけの広告、広告として機能しないものがある。これは昔の総会屋の雑誌と同じである。大手広告代理店は一部総会屋化しているともいえる。メディアの方も従来の広告代理店と一緒に仕事をしていた担当者が居る限り、何の変革もないであろう。以前某大手新聞社の人がフリーペーパーの調査の話をしていた時に、その統計に「ぱど」が含まれていなかったので質問したら、不機嫌そうに「あんなもんは…」という剣幕になってしまって、質問を打ち切ったことがある。どうも大手既存メディアの世界では全国的に広告をするリクルートとか「ぱど」はエンガチョであるらしい。こういった風潮はメディアと広告代理店の双方から感じる。
一方日本のtwitter利用者は人口の1%くらいかという状態で82の広告主があり、3億ほどの売り上げがあるという。当然リスティング広告はもっと大きい。さらにAmazonのアフィリエイとなどは一体広告統計に含めるべきか? さらにさらにAmazon自身がやっているクロスセルのお勧めは広告の仲間なのか? などなど、すでに機能して大きなお金が動いている広告らしく人々の目には映るものが広告業界とは関係なく動いている。これを新しい広告が始まっていると考える人と、本来の広告はこのようなものではないということで再定義しようとする人がいる。後者はA/L・B/Lの区別をしたい人であり、前者はeBusiness系の人であろう。
そしてもうひとつ、過去のメディアの過去の広告を何とかしたいと考える人も居るが、「形だけの広告、広告として機能しないもの」に依拠している限り出口はない。この際、クライアントを食い物にしている広告は縁を切らないと前進はない。