投稿日: Apr 15, 2011 1:30:14 AM
誰がソーシャルメディアを駆使できるかと思う方へ
現在ネットでの生活者動向に見られる兆しを分析して、今後のコマース傾向を予測するセミナーを4月14日に開催した。国内の物販の通販はネットの時代にあってまだ伸び続けている。ネット通販の伸び率は鈍化傾向にあるものの、通販会社に加えて楽天・ヤフー・DeNAなどを含めて、サービス・コンテンツ系を除く物販だけで3兆円にのぼると渡辺友絵氏は推測している。これは国民の数で割ると一人あたり3万円だから、通販利用がいかに日常化したかがわかる。JADMA調査では1ヶ月あたりの利用金額は34.4%の人が5000円未満がトップで、若い人に比べて年齢が高くなるほうが万単位の支出が多いようだ。ネットで買われるものの傾向はあまり変化が無いが、ネットスーパーが増えてきたという。
しかし通販を手がける多くの会社が潤っているということではない。3兆円の内訳を見ると、Amazon日本事業が推定4000億円でトップで、このあと老舗の通販会社が並ぶ。その通販会社自身はネットでの売り上げが伸びているものの、何十年も携わっている会社の売り上げは下降ぎみで、新興の会社や新たな工夫をする会社で伸び続けている会社が出ている。渡辺氏の話から工夫のし甲斐のあるところはメディアの使い方と物流であると思われ、Amazonは両面で非常に優位である。だからネット通販会社は、そのAmazonにチャレンジするような姿勢で切磋琢磨しているように見える。それくらいのファイトが無いと伸びるビジネスにはならないのだろう。
ユニークな企業の例としてはジャパネットたかたが有名で、実態はテレビショッピングの売り上げは3分の1、ネットが伸びて3分の1、残り4割がチラシ・DM・カタログなどの紙媒体による。どういった客層にたいしてはどこを入り口として、その後どういうメディアアプローチでリピータにしていくか、というクロスメディア展開のお手本のようになっているが、言い方を変えると類型化しにくいビジネスモデルである。通販会社がネットで伸びたのも、最初はカタログ併用で電話・Faxの代わりにWebで申し込みであったのが、ここ3-4年で最初からネットをきっかけ入ってくる「純ネット」の売り上げがカタログ併用を上回るようになったなったからである。このネットでの伸び代は新たな課題をクリアしないと自分のものにできないという岐路にあるともいえる。
今各社が取り組んでいるのがモバイル通販で、前年比11%くらいの成長があり、特にその半数を占める物販の伸びがサービスやコンテンツよりも大きくなっている。しかしデバイスがスマートフォンやタブレットに変化し始めているので、今までのケータイサイトやWebサイトの見直しや、パソコンでもケータイでもない操作性を考慮したコンテンツやアプリ作りどいうのが大きな課題となっている。これはまだお手本があるわけではなく、しかも新しいデバイスはソーシャルメディアの利用が盛んでもあるので、twitterやfacebookのfanpageをどう使っていくかも含めて各社各様の体当たりで開発している。
スマートフォンの利用率はまだ非常に低いのでやっとスタートラインという状態だが、クロスメディアでも成功をして勢いのあるネット通販が他の物販ビジネスに先駆けて取り組んでいる様子は注視していかなければならない。(この項 続く)
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