投稿日: Oct 09, 2013 1:21:54 AM
後継者に何を伝えるか?
アスキーという社名が無くなったのは寂しい気がした。誌名には残って居るが、やはりアスキー時代にやっていたことが大変貴重であったと思うものがいろいろある。その最大なところは新たな著者・ライターが登場するということではなかったかと思う。既存の出版社の雑誌には書いたことが無いような人がPCの世界を担ってきたので、アスキーはそれに対応したメディアであったということだろう。技術評論社とか翔泳社、秀和など同じような出版社もPCの広がりと共に伸びた時代だった。
これは世界的にいえることだが、その中で芽生えたのがデジタルのことをサイエンスとして考えるとか哲学するという傾向があって、Wiredなどが登場した。日本のWiredはそうはならなかったのだが、昔のアスキーはそんな面も持ち合わせていた。こういった話はPCのお買い物に関心が強い人にはどうでもよいので、日本では淘汰されてしまったのだろうが、実は現状の問題解決とか、今後のビジョン作りなどには必要な情報である。
将来どうなっていくのかを描くのに、自分で情報を集めて、自分の思いもいれてロジカルに構築していく「マイウェイ」的な方法と、ヒヤリング・アンケートなど動向を聞き集めて作文する「サーベイ」中心の方法があるように思い、結局はそれそれの国の国民性によって、アメリカではファウンダーのマイウェイが重視されるし、日本では蓋然性が重視されるように思う。しかしPC誕生以来40年近くのIT産業の推移を振り返るならば、日本の方が負けているのだから、蓋然性にもとづいて皆が同じようなことをしていても、今後失地回復にはならないのではないかと思う。日本でも経営陣がロジカルに「マイウェイ」を構築していくための交流がもっと盛んになるといいのだが。
当然ながら企業経営にとっては「マイウェイ」と「サーベイ」の両方が求められ、短期的な経営計画は「サーベイ」が重要だが、中期での差別化を考えるには「マイウェイ」が必要というように関連しているから、日本人は中期的なことが苦手な傾向があるといえる。TEDは相当ショウ化してしまったけれどもアメリカでは中期計画に役立ちそうなネタがいろいろ出てくるのに、日本では文化的なイベントになってしまったりして、サイエンスとか哲学に落とし込み難い。
これまでITベンチャーで何らかの成功を収めた方々は、時代と共にビジネスは様変わりしてしまって、昔話など誰も聞いてくれなくなってしまったときに、後継者に何を語るのだろうか?