投稿日: Mar 04, 2015 2:37:26 AM
PoD、BoDの応用分野開拓に関することを記事『コピーの無くなる日』や記事『印刷と製本の境』で書いたが、今はこれらと同時に電子書籍や電子出版も考えなければならない。とりわけ教育用には紙と画面とどちらが良いかについては使う現場が考えて選択する問題で、作る側としてはどちらもできるようになっている必要がある。
集合教育なのか/分散的な学習なのか、読むのが主体か/書くのが主体か、保存が必要か/必要でないか、集計が必要か/必要でないか、など教育目的のいろんな文書にそれぞれどのような役割を持たせるのかを決めるのは教育現場だからだ。
でも大まかには教育用マテリアルは以下のように区分されていると言え、それぞれに現場の関り方とか裁量権が異なる。当初は2015年が目標だった義務教育で電子教科書化を進めようというのは、今では2020年ごろを目標に進められているが、そこではだいたいがトップダウンの考え方で動いていると思う。それは学校のネット環境とか設備導入の問題があるからである。最近は学校にも電子黒板などが設置されてきたが、これらはどちらかというとかつての視聴覚教材の流れであって、先生が自発的に、あるいは勝手に気ままに使えるものではないだろう。
一方、YouTubeなどには実質的に教材に使える理科の実験とか社会観察というのが多く溜まっている。これらは先生や研究者の自発的な活動であり、またホームページも自発的に教育用のものが多く作られている。以前にいっそのこと義務教育用のWikiでもつくったらどうかということを考えたが、これらは環境整備とか設備投資は考えないでも、既存のスマホやPCを利用してすぐに作れて使えるからである。
本来ならばトップダウンとボトムアップが同時に進むのがよいのだろうが、日本の公教育の場合はいろいろな意味で両者がコラボするようにはなっていないので、それが日本の電子教科書とかeLearning化を遅らせてきたのだろう。
しかし企業内教育とか専門学校のようなところでは、教科書/参考書/教材/教育方法などが一貫したものとして扱いやすいので、すでにeLearningがかなり導入されている分野もある。受験産業も一部そうなりつつある。今までのコンテンツは専用アプリの他にPDF/MSOfficeやPowerPoint/htmlと動画が主であったために、コンテンツの管理や再編集がやり難い面があった。
これらをEPUBとHTML5(+java)にすればコンテンツ面での問題は軽くなり、紙に出す時にPDFにすればよいといわれてきたが、まだそれらのツールが少なかった。EPUB3の制作環境も文芸か漫画に偏り、雑誌分野はまだなかったのが、ミッシングリンクであったように思う。この分野のツールが登場し始めているので、専門学校あたりから教材の再構成とEPUB化ができるのでなないかと思う。
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