投稿日: Oct 22, 2012 1:0:39 AM
割とつまらない時代になってきたと思う方へ
Appleはマーケティングに秀でた会社であると思っていた。独自技術というのはない。以前は自分で工場を持っていたがたために不完全なものを作ることもあったが、今はアジアに外注しているために一流品になった。Apple製品への満足度が高いのは、現在一定コストで組み立てられるデジタルデバイスに、どれだけのものを期待させるのがよいのか、という壷を押さえているからだろう。機能・スペックではホラは吹かないで、使用感に関してPCなどよりも如何に心地よいかを設計してきた。つまり Steve Jobs の着眼には使いにくいPCがあってこそのApple製品設計があったと思う。よくプレゼンテーションで比較をしていたことを思い出してほしい。この構図はスマホの時代になると薄れてくる。
Appleはまだ独自のマーケティングの伝統が生きていて、iPhone5なども予約だけですごい受注を得ることができる。しかし徐々に Steve Jobs が采配を振るっていた時のようではなくなっていくであろう。地図アプリの不完全さの改善なども、Googleと真っ向勝負をしていたのでは消耗してしまうので、Googleを出し抜くような着眼点のカリスマが必要になるが、そういう人が出てくるかどうかはわからない。
Microsoftは一足先にビルゲイツが抜けたので寂しい状態になってきた。今日の覇者のうちでAmazonは商売人、Googleは科学者的で、両親分ともに単なるIT屋とか専門領域の有名人ではなく、やっていることが非常に幅広いのでカリスマとして取り上げられたりゴシップのネタにはなりにくいだろう。
実は他の経済界でも政治の世界でもカリスマが激減しているように思える。とはいえ何時もどこかで誰かが頭角をあらわしているのだろうが、過去を振り返るとカリスマが多く排出されるドサクサな時代というのが周期的にあった。中国は集団指導体制の時代になってカリスマがいなくなったが経済発展のためのバランスのとれた采配ができるようになった。今はうまくグローバル戦略が回っているが、これも対抗するようなカリスマが不在だからよいのだろう。
英雄待望論ではないとすると、カリスマ不在の時代の戦いは定石どおりに着実にコマを進めるようなマネジメントが重要で、それがAmazonやGoogleの実力にもなってきているといえる。しかし正面からAmazonやGoogleに立ち向かっていくよりも、彼らが手薄なところを切り崩そうと、その定石に挑戦してくる会社はでてくる。その中から新しいカリスマ(ミニカリスマかもしれないが)が現れてくるだろうと思ってWatchしていきたい。