投稿日: Jun 26, 2011 10:44:15 PM
すべてがソーシャルメディアに収斂されるのではないかと思う方へ
中国でのネット人口は爆発的に増えているが、アメリカのサービスはなかなか参入できないようにしていると思う。Googleも、YouTubeも、Twitterも、Kindleも、facebookも、その他世界的に有名なサービスの中国版というのが国内で広く使われている。もともと言語の障壁があるので英語のサービスのままでは大衆的には広まるのは難しいのだろうが、大衆の立場に立ちつつも中国当局の思惑というのもチラホラうかがえる。つまり紙媒体や電波媒体よりもデジタル・ネットは国家管理が行いやすい点だ。中国では国家がプロバイダであるからというだけでなく、日本のようにプロバイダやキャリアが民間であっても、少数ならば国家の意向に沿う形になるだろうが、そことも上手に付き合っていかなければならない。
6月24日にfacebookのアプリ開発者から『Facebookアプリ制作の現状を学び、今後の可能性を探る』セミナーを行った(スライドショーあり)中で、今までmixiやグリー・モバゲーのアプリを多く手がけてきたサムライワークス矢追龍之介氏は、ソーシャルアプリ開発の注意点として、各プラットホーム提供者のガイドラインをよく理解しておく必要性を説いた。せっかく開発したものがAppStoreの審査で落ちることを経験した方は少なからずいるが、そのようなことがソーシャルアプリでもプラットホーム側の理念とかビジネスモデルと反することがあると起こる。例ではキャンペーン用のアプリを作る場合の説明であったが、プラットホームに備え付けの機能をキャンペン応募や連絡に使うと駄目になったという。mixiは修正して再開可能だったが、facebookでは一刀両断で全アカウント消されてしまうリスクもあるという。
これらはソーシャルメディアの特質に関係していて、EBook2.0Forum雑誌の解体と再生(http://bit.ly/klLsqi)の中に、コミュニティモデルとして書いたことで、従来の出版社から読者への一方通行的な情報伝達と同じように考えるとしくじる。コミュニティの構成員の意思や意欲を十分に汲み取ったうえで、それにそぐわないキャンペーン側の都合である応募や当選通知はプラットホーム外のメールやWebなどにリンクして行えばよいわけで、これは何でも埋め込みや直結の開発をするより楽である。ただし利用者が無意識の内に使ってしまうようなシームレスさはなくなるけれども、そもそもソーシャルメディアはきっかけであって、自社サイトやサービスへの誘導が目的なのだから、そちらに利用者を引き込める要素を持たせなければならないことは自明である。
中国でも国家の統制でも同じことで、巨大なメディアというのは公道のようなもので、そこでの振舞いは常識的でなければ排除されてしまうが、そこをきっかけに権力の及ばないところに上手に誘導できれば、目的は達成できるはずだ。インターネットのアーキテクチャはネットワークとネットワークを繋ぐ経路の迂回がいくらでもあることと同じく、ソーシャルな情報の領域と、その外の別の領域が連鎖的につながって、アナログメディアの垂直とか水平という管理構造を越えた情報環境が生まれようとしている。
2011年6月24日(金) Facebookアプリ制作の現状を学び、今後の可能性を探る 報告記事