投稿日: Feb 10, 2012 1:9:13 AM
新たなビジネス潮流を感じる方へ
毎日のニュースの中で日本企業の海外進出や外国人の雇用などが活発化していることが伺える。それはバブルの頃に国内景気の余勢をかって海外で金を使ったのとは全然違う、生き残りのためのものである。これは1ドル80円を切るような異常な円高によるところが大きいが、この円高そのものは日本の主要2大貿易相手である中国とアメリカとの駆け引きによるもので、それぞれの思惑とは別に日本の製造業の空洞化という共通の戦略があってのものだろう(商品取引というよりは雇用対策が国の大きな課題であることは別の機会に)。いずれにせよ日中米のバランスを考えると若者が減る日本での製造業の再興は有り得ず、経済規模維持のためにも海外での経営は必須になる。何しろ10年後を考えると労働所得のある人の数は1割は減ってしまうのだから。
国内の経営環境が変わってしまったので、経営者の世代交代とともに第2の創業を掲げる中小企業が増えたが、海外進出というのも異なる経営環境に飛び込むわけだから第2の創業と同じともいえる。以前に大連のDTP教育を企画・立上げをした際に、日本のDTPの輸出ではビジネスは成り立たず、現地の経営資源と顧客のビジネス改善という2つの土台の上でしか成功の道が無いことをしみじみ感じた。実はこれは国内の第2の創業でも同じなのだが、国内では昔からの経営資源を引き継いでいるが故に新規の事業が始め難い事情があったりする。そこでバリバリできる次世代人材を育てる意味でも海外で第2の創業をする意味はある。
このところ毎日取り上げているJFPIの「SMARTRIX2020 スマート社会に貢献する印刷産業」という報告書でも、結局のところ国内の印刷市場で伸びるところは無い(資材・素材をのぞく)と見ているわけで、まだ手を打つ余地があるのは、第4章方向性と事例研究 5.グローバル化によって変化する印刷市場 というのが、文章の書きぶりからみてもわかる。他はほとんどグラフィックスを扱うという業界の特質とは関係の無い一般論が主であった。つまり冒頭の日本が置かれている今の状況に正面から向き合うしか、元気な仲間と励ましあいながらビジネスをすることはできないのだろうな、と思うわけである。
コンテンツの海外展開でうまく利益が出るのかどうか誰にもわからないが、同じように知恵を搾り出しながら取り組んでいる他業界の人が多くいるなら、何らかのコラボレーションもできるかもしれない。事実、クライアントの海外展開に引きずられて海外ビジネスを始めてから、独自のビジネスを見つけたところもある。今中国が世界の工場のようになって製品輸出をしているが、日本には工場が無いことをメリットとみて海外から自由に調達できるし、世界で日本にしかないものは輸出すればよいし、自由な立場でビジネスが可能になるのである。コンテンツの輸出入を、あまり狭く考えるのではなく、将来大きく伸びるモデルとして考えてもいいのではないかと思う。