投稿日: May 25, 2012 12:39:14 AM
やみ市から再出発すべきと思う方へ
私は10年ほど前からebayオークションを利用しているが、そこで必要なものを調達するというよりも、多くの「へえ!」に遭遇できる面白さがあって、毎日のアクセスが欠かせない。各商品のページ自身は余計なことは書いていないのだが、ブラウズしていていろいろなことに気が付くことが多い。アメリカの古い新聞は相当売られていて、南北戦争の頃のものが値段が高いとかである。学校や企業がバインダーに保管していたものがバラされて、ニュースごとにタグつけられて売られていることが多い。当然古雑誌はゴマンと売られている。カタログ、パンフ、マニュアルなども売られていて、何か調べ物をしている時は意外なところから裏づけ資料が得られることがある。
Macのプロトタイプが売られていたことがあった。それはまだ3.5インチのフロッピが出る前だったので、5インチのフロッピが使われていて、どうもAppleIIと同じようなものであった。珍しいものを収集しだすとキリがない時代になっている。これは最初からebayが狙ったことでもあるしインターネットがインフォメーションスーパーハイウェイとして語られていた当時から予測されていたことでもあった。つまり生産しないで販売することである。言い方を変えると、納屋や倉庫に眠っているゴミを再評価すると、ゼロ円のものをn円にすることができて経済が回るという考えである。これは社会全体で考えると相当な量で、現にebayの経済規模は小国家程度にはなっている。
アメリカのオークションは40年ほど郵便の時代から使っている。アメリカの地方新聞は「売ります・買います」が盛んで、居住域では引越しに伴うガレージセール・エステートセールが、大駐車場が借りれるところではフリーマーケット・スワップミーティングが行われていて、アメリカの大消費社会で散らばった商品が、再度別の視点で評価されて集まってくるようになっている。だからそれらの中古品や不用品が動いた履歴があり、その辿ったルート自体がモノの価値を裏打ちすることは、美術品がいろんなコレクターや美術館を経由して価値が次第に明らかになるのと似ている。
ネットはこういったモノにまとわりついた情報を明らかにして知らしめられるのでゼロ円のものをn円になり、さらに流通を迅速にするのにネットが役立った。ネットで怪しいものがあるのはあたりまえで、フリマとかヤミ市・ゲリラ商法など何でもありだから、ebayなどECポータルサイトがクオリティコントロールする余地があるし、その中で商品の説明の仕方、売主のポリシー、売主の評価やレビューが参考にされる。こういったECの使い方はもう十分に市民権を得ていると思う。だからこそ今までECで扱えないのは「現物を見て決める」タイプの商品であったが、今は返品自由ということで現物を送るビジネスも伸び始めている。
ともかくゼロ円のものをn円にすることができるネットのヤミ市的ゲリラ商法やフリマ的オープンさの中に新しいビジネスが生まれる可能性もある。それが嫌いなら縮んでいく既存のビジネスをしているのがよい。その場合は事業縮小には文句を言わないとか、仕事がないとか職がないとボヤかないことだ。