投稿日: Feb 13, 2011 11:34:38 PM
簡単に乗れないし無視もできないと思う方へ
バズワードを知らないとトレンドに取り残されるという脅迫感があって、今ならフェースブック云々…ソーシャルメディア云々…という本が絶え間なく出版される。面白いのはWeb上にいくら情報があっても、紙の上に編集されパッケージ化された情報にも人は依存していることである(意外に電子書籍で攻め切れていない分野)。しかし新書判くらいでは氾濫し始めたニュースの解説程度の内容にしかならないため、それを読んだだけでは判断を誤ることが多い。おそらくこの程度のバズワード認識の人を対象にして、直接関係ないものにでも我田引水で営業をかけようと意図したトークもあるはずだ。つまり何でもソーシャルをつければ人に振り向いてもらえる、みたいな。
クラウドを巡って、記事『似て非なるもの』ではSalesforceがオラクルの「偽クラウドに気をつけろ」といえば、オラクルが「Salesfoeceはアプリだ」と言い返したことを取り上げた。これはクラウドの定義の問題だが、プライベートクラウドというのは怪しいものもある。大きな会社で事業所が多数あって、それぞれにシステム部門とサーバ群がある場合に、これを集約していく必要がある。韓国政府ウェブサイトは1,600以上あり、この1年でサーバーを4,687台から2,535台に半減するという計画を作った。こういうのをプライベートクラウドということもあるが、要するに水ぶくれを整理しているだけではないか。逆に言えばこの間のIT業界は、成長期につきものの無駄で売り上げを嵩上げしていたともいえ、それが整然となるに従って売り上げが減る段階に入っている。その椅子取りゲームのようなビジネス競争にバズワードのクラウドが使われているだけである。
またクラウド上でのサービスも次々出て来るが、中にはCOBOLが使えるというものもあった。COBOLのニーズがあることはわかるが、インターネットの時代になっても昔のバッチ処理の時代のビジネスプロセスを変えようとしない顧客を対象にしてもイノベーションは期待できないし、顧客の業績も飛躍的に良くなるとは考え難い。今の時代は一方ではリアルタイム処理が発達して、ECにおいても過去には在庫管理と販売が別だったのが、今では最後の1個まで売り切ることができるようになった。つまりビジネスのプロセスを変えることで今までよりも経営効率を上げられるのに、IT屋が過去のプロセスを踏襲することばかりサポートするのは、既存顧客を最小コストで囲い込みたいからであろうし、そこにもバズワードのクラウドが使われている。
ニュースを追いかけているだけだと、バズワード便乗のニュースリリースに浸っているだけになりかねない。だからバズワードこそその本質を知る主体的な努力をしないと、本当のポテンシャルや可能性が理解できない。世の中で話題になっているものは、やはり何らかの力をもった技術であったりトレンドであるが、話題になればなるほど雑音や誤解も多い。そのバズワードが自社の戦略に関係がありそうな時は、それなりの情報投資が必要になるし、社内に理解できる人材が誰であるか見極めなければならないし、いろいろな意見交換を総合して経営陣にゼネラリストとして判断してもらえるようにすることが必要になる。