投稿日: Sep 23, 2015 12:13:53 AM
安保法制の後は経済高揚であるとの話だが、過去数年の日本の経済状況の内実は決して成果が出ているものとは言い難い。相変わらず国債を発行し続けて表面的には経済政策をしているようでも、発行した国債を100兆円も日銀が買い上げていたのでは、経済が循環しているとはいえない。要するに政府が金をばらまいて、投資筋が活況したというだけの数年であった。企業には円安効果はあったものの、それをきっかけに再び輸出が伸びているようにも見えない。もし輸出が増えたら国内生産も増えるはずだからである。
つまり現代に合わせて経済の仕組みとか企業のビジョンを修正することはまだできていない。その際たるものがエネルギー政策かもしれない。記事『本物のIoTとかユビキタスとか』では、この夏の電力需要の11%を太陽光発電でまかなったということを書いた。エネルギーに関しては10年計画を建てるとかなり世界が変わるように思える。原発に関しては稼働を止めてもう4年ほど経つので、退職者がそれなりに出て求人活動も行っているが、原発技術者になろうという人が5分の一に減ってしまったそうで、これから廃炉とか難問が山積しているのに、優秀な人を集める目途が立たない。
どうして日本で政治家になる人は金を使うことだけで熱心で未来をデザインしようとしないのか?世界の中での日本のポジションをどうしたいかというのがもっと争点になるべきであると思う。経済の話をするなら、どの程度の豊かな暮らしを目指すのかという議論をするべきだ。北米を除くと国民一人あたりの可処分所得が大きい国は軒並みヨーロッパの北の方に位置する。北欧のように決して人口は多くは無く、広大な平原があるわけでもないところでも、ずっと日本よりも安定した社会で、外交的にも平和で、収入も多い。
北欧に関してはプロテスタンティズムと社会主義の入り混じった基盤が出来ているようで、日本がすぐに真似できるものではないだろうが、参考にすべきところは多いように思う。日本の人口減少の結果として、一人あたりの収入が増える方向に行くことは、従来の薄利多売から脱することでもあるからだ。
つまり薄利多売という発展途上国モデルから先のこととして、日本はどこへ行こうとしているのか曖昧である。それは知的生産云々という点でもいえて、アメリカなどはライセンス輸出をして自国の利権を守るために知財権の仕掛けをしてくるわけだが、日本における知財権争いは国内ビジネスのつぶし合いのようなこととなって輸出振興にはあまり向いていない。
アメリカの真似をするのがよいとは思わないが、ヴィジョンが自分で作れないなら時間は無駄に過ぎていくだけであろう。