投稿日: May 27, 2014 1:37:9 AM
コンテンツ輸出に必要なビジネススキル
今でも電子書籍云々でAmazonが話題になることがあるが、ビジネスという観点ではもっと大きなテーマがいくつもある。出版が苦境なのをAmazonのせいにしても何の前進もないだろう。だいたい書籍の市場というのは長期的に考えると増えも減りもしないものだと思う。書籍に馴染んでいる階層は書籍を読み続けるであろうし、書籍に馴染んでいない階層はハリーポッターとかタレント本とか大きな話題になったものしか読まないだろう。全体としては人口の増減に左右されるとか実用書がデジタルメディアに食われる面があるが、実用書はしょせん一時的なニーズしかないので、書籍の文化の中では後発であり異端ともいえる。
つまりその時代の旬の情報を扱う実用書とか娯楽書を出したければデジタルとかネットとかマルチメディアは避けて通れない。以前から角川がやっていることは正しいし、Amazonがどうのこうのよりもコンテンツのデータベース化と使いまわしとかライセンスとか、出版の機能の中でもプロデュースとか管理・運用ノウハウを磨いていくことが必要で、紙に印刷して分散させることはその業務の一部に過ぎない。
やはり日本の出版経営は国内でもプロデュースとか運営管理に重きを置いた利益の出し方をしてこなかったのかもしれない。日本のコンテンツが海外で売れる場合もあるが、多くの場合は海外の会社に利用許諾を与えて、海外で日本語以外の版を製作して売るのが多い。漫画の進撃の巨人もアメリカ進出をしているが、アメリカのプロダクションがアニメ化をしていると思う。東南アジアで漫画を売る場合も現地でのローカリゼーションをしているので、これでは原作権や印税の一部とかの収入が増えていくことにはならないだろう。
実際の翻訳作業とか、内容を現地化することは、当然ながら現地のスタッフで行うことになるのだろうが、これらの仕事の全体をどれだけ日本で取り仕切れるのかというのが、コンテンツ輸出でのビジネスの成長にかかってくると思う。今までのやり方は現地の会社に出版やアニメのビジネスの機会を与えるという、ある意味では慈善事業に近い要素があったと思う。こういう海外でのビジネススキルをどういうように高めるのか、身に着けるのかというのがクールジャパンの大きな課題で、それは従来の刷って配布するモデルからはでてこないものだろう。