投稿日: Nov 09, 2011 1:0:58 AM
出版の変化は必然であると思う方へ
先日復刊ドットコムの佐田野社長とお話をしていて、ウチにはAmazonにないものがある、と聞いてAmazon万能ではないところをいろいろ考えてみた。やはり特殊なものや限定品などのロングテール中のロングテールはAmazonには向かないで、一方ロングテールではあってもブレイクの可能性のあるものはAmazonに向くのだろう。要するにAmazonは開かれたマスマーケットで、そのような出版やコンテンツ提供をするところは避けて通れない流通となる。日本の出版社も紙の本をAmazonに売ってもらっているように、AmazonKindleのeBook扱いが紙の本の取次ぎ業者並みに大きくなれば、おそらく日本の出版社はなびいてしまうだろう。護送船団的な国内流通の命運は決まったと思う。
しかしAmazonに対して日本の出版社の交渉力はなかなか発揮できないだろうから、一方で独自eBookなどのサービスというのも発達していくだろう。角川グループホールディングス(角川 GHD)は、電子書籍プラットフォーム「BOOK☆WALKER」と連携する電子書籍サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」を開始し、またドワンゴの動画配信サービス「ニコニコ動画」と連携する無料オンライン漫画誌「角川ニコニコエース」を創刊した。ニコニコ関係は韓国でも人気なようで、若者の間で類似コンテンツが出回っていたり、それらのビジネス化が画策されている。むしろ日本の動きの方が遅いかと思っていたところに角川とドワンドの発表があった。これからコミケのクリエータ達が世の表に出てこれる仕組みがネットとデジタルでできれば、市場は活性化するかもしれない。
楽天はカナダのeBook出版および流通のKoboを買収した。これは日本のコンテンツを外国語にしてkoboで世界に売ることを考えているのだろう。世界ではKoboの方がKindleよりもポピュラーなところがあると聞く。そうすると楽天は日本の著者のエージェント事業をしなければならない。これは結構苦労が多いだろう。冒頭の復刊ドットコムは絶版本の復刊に際しての権利者との交渉をするわけだが、日本の権利者がサバけていないところはまだ多いようで、ネットの仕組みで契約するようなオープンさや合理化はほど遠く、人海戦術であるし、その人の交渉能力にかかっているからだ。楽天はエージェント能力をつけてそれをEC化するに至るまでは、日本のkobo子会社を作って翻訳電子書籍を出すような、日本の翻訳出版社を中抜きするモデルも考えられる。
昨年に電子書籍元年といわれていたのは紙の出版モデルをデジタル化しようというものだったが、その進捗や成否に関係なく、もっと根源的にコンテンツをパブリックにするということがネットとデジタルで変化しはじめているのが、ニコニコやその影響下にあるアジアのコンテンツ制作であり、コンテンツ流通のグローバル化のいろいろな動きとなって、目に見え始めた。それに気づくところと気づかないところに2分されていくだろうし、当然明日の明暗を分けるだろう。