投稿日: Apr 30, 2011 12:37:3 AM
我々にはできなくても、未来の人には託したい方へ
東京や千葉の海岸は埋め立てられたところが多いが、3.11の地震での被害の出方は一様ではなかった。私はその時に横浜の埋立地に居たが、そこは古いところでもあり、また最近できた高層ビルだったので、エレベータが止まったくらいのことしかおきなかった。外部をみまわしても、高層ビルがゆっくり揺れてはいても建設中も含めて新しい建物に変化は感じられなかった。後で聞いた話では古い建物では天井が壊れたようなところはあったようだ。1980年代以降の建築基準や工法の耐震という点での成果は感じられた。そのときの揺れの感じからして、建物や鉄道が無事なのは不思議なくらいであった。
昨日新浦安に住む知人と連絡がとれたので新浦安を見て廻った。JRもビルも無傷だが、地表はうねった痕が残る。YouTubeでも歩道に水や砂が噴出している映像があったり、建物の前の階段の壊れなどが報道されていたので、心配をしていた。地中深く杭打ちをしてある建物や道路線路などは何事もなかったように従来どおり使われているが、建物の周辺の歩道や、歩道に造られた造園とか柱とか、敷石などは随所に壊れたままのところがある。あたかも建物に対して地面が波打った痕跡のように、ところどころに歪が出ている。個別の建物でみると、歪がでなかったラッキーなところと、玄関前などに歪が露になった不運なところに分かれている。
また一戸建てのような地面の上に置いた形の建造物は傾いてしまったものもある。塀も傾いて作り変えなければならないと思われるが、まだ余震の心配があるとか、工事業者にとってももっと先にすべきものがあるので後手に回るのだろう。歩き回ったなかで戸建てのコンビニで廃業が2つあった。表通りのモダンな建物ながら完全に斜めになっているものもあった。建物と地面との間でレンガ1個分くらいの段差が出ているところが目に付いた。つまり地面がその程度下がってしまったところがあちこちにある。歩道が隆起しているところもあるが、下からの力という点では液状化での噴出跡の方が目に付く。噴出して出たのは水と砂かと思っていたのだが、砂と泥の混合したようなところもあった。
傾いたり液状化したところがどこかの地域に集中しているわけでもなさそうだった。浦安の旧堤防の陸地側と、後で埋め立てた今の海岸近くで比べて、新しい方に被害が多いようにも見えない。これは埋立地の「地が固まる」には大変な時間がかかることを示しているように思う。日本の平野の成り立ちは川による洪積平野と海による沖積平野であると習ったように思うが、人工的な埋め立ては第3の平野で、短期間で形成されるものの、地の中が均されていないので、柔らかいところと硬いところの斑状態になって、大地震のような大きな力が加わると柔らかいところが流動化したと思える。埋め立てでも地表を被う構造物がなければ何千年という中では地下の見えないところで自然に均されることが起こるのかもしれない。
埋立地でも建物ができる前ならば地中の構造の診断もしようがあるが、町ができてしまった今となってはどんな診断方法があるのだろうか? どのようにしても何千年何万年という自然のメカニズムに人間が対応できるとは思えないのだが、人間が過去に何をしたかを記録することは可能だ。埋め立て工事でも誰がいつどのような方法や材料でやったのか、などが後からトレースできるようになると、未来の人の知恵に委ねられるところは増える。クラウドの時代だから、何でもアーカイブすればきっと役に立つと思う。