投稿日: Mar 27, 2013 1:10:59 AM
人々の耳は肥えてきたと思う方へ
私のようなレコードの集め方は特殊だったかもしれないが、昔学生の頃は気に入った音楽はスペアにもう1枚を買っていた。それはレコードをかけていると質が悪くなるからだった。それを気にしてあまりかけなくなると、何のために買ったのかわからなくなる。ビンボー性なのだろうけれども、心置きなく音楽を聴きまくるには、スペアがあるという安心感が必要だったのである。そのうちウォークマンができたので、60分のplaylistを作ってテープにダビングして聞くようになったので、スペアは買わなくなった。それで100数十本のplaylistテープをもって大阪から東京に転勤した。
2000年頃からmp3の携帯デジタル音楽プレーヤーが出てきたので、再度アナログのレコードをデジタルで採り直しして、新たな60分のplaylistを作って、今度はCD-Rで保存している。このCDで100数十枚になる楽曲は家の中ではNASに入っているので、パソコンでもiPodでもいつでもどこでも聴ける。またリビングにはBOSEのWAVEというのをジュークボックス代わりにしていて、それはCD-Rをかけている。新たにデジタルにしたのはデジタル音楽編集でリマスターするためで、なるべくCD品質に近づける作業を1曲1曲していたので、数万曲をデジタルにして、その中から数千曲をCD-R100数十枚にするのに10年間かかってしまった。しかしその作業も音楽を聴きながらするものだから楽しかった。
だいたい1日に最低でも2時間は音楽を聴いていて、土日は数時間になるかもしれない。その大半は30-50年前に集めたアナログ音源なので、この10年ほどはCD屋にも殆ど行っていないし、ダウンロードで楽曲を購入したことも無い。つまり現在の音楽業界にはほとんどお金を落としていない。こういうケースは特殊なのだろうと思っていたが、世の中全般をみわたしても、音楽に金を払わない傾向になっているようだ。しかし音楽を聴く機会は増えている。電車の中でスマホをいじっている若者も、別にもうひとつ音楽プレーヤを持ち歩いていて、家に帰ればパソコンなどに相当沢山の楽曲を溜めている人は多いようだ。レンタルCDをripしてパソコンに保存していれば、誰でも次第にそうなっていく。
かつてのアナログレコードやCDの場合は、何年か前に購入したものを聴きたいと思っても、何処にしまったか思い出せないとか、人に貸したママということがあったが、デジタル保存されているものは基本的には無くさないし、見つけるのも簡単である。以前は楽曲管理にデータベースを使おうとしていたが、今はWindowsExploreの検索機能で見つけられるようにファイル名を工夫して、見つけることは解決している。
一般的には溜めた楽曲が1000くらいになると、新規に何かを買うよりも、持っているものを聴きまわることが優先になるようだ。このプロセスを経て今後も聴くものと聴かないものの仕分けをすることになる。こういうことで人それぞれの嗜好が明確になり、また聴く耳が成長して、他の音楽にも目が(耳が)開かれるようになるのだろう。だから長い目でみれば、視聴者の成長は音楽産業にも還元するものだろうが、次々ヒット曲を消費する形のビジネスは、じっくり聴く人が増えることで難しくなるのかもしれない。