投稿日: May 14, 2014 12:21:43 AM
総括が必要
そろそろiPadは当初考えられたようには使われていないことを認識しなければならないのではないか。これはタブレットを否定するものではなく、この新たな用途はAppleとか一部のジャイアントが切り開くものではないのだということだ。タブレットの売り上げが落ちていることを、記事『IT産業の天井感』で書いたが、考えられていたタブレットの用途の多くはスマホに取って代わられているとはいえ、タブレットのアプリというのがやはり立ち遅れているというのが主な原因だろうと思う。
学校とかビジネス用途など、決まれば組織的に一気に普及するはずのものも、それほど動いていない。2010年のiPadの発表時には、iBooksとiBookstoreとか、iWorkアプリ類が発表されて、みんながこれらの開発するのを応援するような話だったのはどうなったのだろうか?
私は基調講演で話された内容は10年でも20年でも覚えている性分なので、Appleの電子出版へのコミットは無責任さを感じる。当初Appleと揉めたAdobeもEPUB化には積極的ではなかったが、これら出版制作のベースとなっているところが不協和音では出版がキラーコンテンツ化することはできない。今でも電子雑誌は紙媒体の2次使用のような形に留まって、モバイル時代に進化を果たせなかった一つの要因である。
今年になって『メガネの三城』がiPadを4000台導入という話があったが、これは上記のアプリとは何の関係もなく、客がメガネの試着を見るためのカメラとビューアに使うもので、ローテクの極みとも思えるが、こういった現場的な発想が大事なのだろうと思う。
外食産業の専用端末に代えて、スマホで客がセルフオーダーする仕組みがあったが、これが意外に使いにくくて、誰もやらないものとなってしまった。つまり一足飛びに客自身にやらせるよりも前に、店員が接客の質向上のために店内でタブレットを持ち歩くようなのもが必要なはずである。
タブレットの画面はパソコンよりも狭いので、そこにすべての機能を持ち込もうとすると、階層の深いものとなってしまって、顧客とかアルバイト君に操作させるのは困難になる。それよりも『メガネの三城』流に今すぐ役立つところにだけ絞り込んだタブレットの使い方を考えた方がよいのだろう。
そういう実験がいろいろ行われた後で、オーダーシステムやPOSシステムなどのトランザクションと連携した開発が必要になる時が来るであろう。
以前にスマホは万能リモコンに向かって進んでいるということを書いたことがあるが、タブレットも店内などでの立ち仕事の際にも使える点ではPCよりも優れていて、PCなどのリモートデスクトップという応用がこれからありそうだ。例えば店の客引きという局面では、表の往来の客の姿をテレビカメラで撮ってタブレットでモニタし、店長は今通りがかっている客にふさわしいプロモーションを外部のデジタルサイネージに表示するような制御がやりやすくなる。これは時間帯で通行人の層が変化するような場合では、工夫のやい甲斐があることだろう。
イノベーションというとAppleとかGoogleとかAmazonが次に何をしだすかと考えるのはヤメにして、自分の仕事の改善を通じて考えるようになるべきである。