投稿日: Jul 06, 2010 11:17:7 PM
TVの政見放送が物足りないと思う方へ
Googleの『Google 未来を選ぼう 参院選2010』という参議院選挙の候補者情報がある。全国各選挙地区の候補者の検索ランキング推移と、各候補者についてのtweet、本人のtweet、経歴、ニュース・ブログ・動画・ブック検索などもあるポータルになっている。テレビの政見放送よりは便利なものである。テレビの時系列な情報の並びは、候補者選びのような比較検討には向かないことがよくわかる。TVショッピングも一点を面白おかしく採り上げる能力はあるが、比較はしにくいのと同じだ。選挙については、次は政党に関する比較もできるようになると、もっと意味のあるものとなるだろう。
ちなみに twittersentiment では日本の参議院候補者や政党名が効かないので、世論調査的な役にはたたない。たとえば国名では、Japanと入れるとtwitterでは肯定意見が4分の3あり、Chinaでは肯定否定が半々であるというようにデイリーで表示される。つまりニュースに連動してどのようにつぶやかれるかが数値化される(その真偽というか精度は今後の問題だが)ので、選挙にこういった『見える化技術』が使えるようになると、選挙でのディベートはのっぴきならないものとなるだろう。日本におけるメディアの課題は、はやぶさの件でも日本人は情緒的であることがわかるし、逆にNECはそこをうまく突いて広報をしたように、情緒をからめた判断がされてしまうことだろう。ソーシャルメディアだけでは情緒はコントロールできないが、そのAPIを使った分析で割と客観的な情報になるだろう。
先日亡くなられた梅棹忠夫氏は1963年に情報産業論を発表し1970年くらいから情報社会・情報化社会が盛んに叫ばれるきっかけを作った。これはその後INS社会論とかFTTHへの投資など日本が世界に先駆けてIT投資をするようになったこととつながっている。そしてINSにヒントを得てアメリカはゴアがInformationSuperHighway構想を作るなど、梅棹忠夫氏は大変先見性のある働きをされた。INS初期は情報産業とか情報社会にピンとくる人は少なかったのに、当時金回りがよくなっていた日本の企業がこぞってその分野に投資したことは、無駄が多かったにせよ、曲がりなりにも日本が今のポジションにいて、モバイルインターネットやtwitterの利用でも日本が頑張っていることにつながっている。
しかしソーシャルについては冒頭の国政選挙のようにITを使うことに国内が追いつかなかったのは残念だ。実は世論調査自体はコールセンターなどが相当量のモニタ調査と分析をしていて確度の高い情報を提供しているのに、それをソーシャルメディアでやってみるというところには、もう一歩踏み込めていなかったが、そういう時代は迫っているといえる。2008年のアメリカ大統領選挙では有権者の68%が定期的にインターネットを利用して政治的な判断をしたといわれており、それがソーシャルテクノロジーの発達に拍車をかけた。それをきっかけに新聞と雑誌よりもインターネットの影響力が上回るようになった。どうも選挙というとキナ臭いものがあって、ITの人々は触れたくない気持ちがあるのかもしれないが、これからはソーシャルテクノロジーを世に知らしめる大きな機会となるだろう。