投稿日: Jul 29, 2010 11:55:29 PM
マスメディアとともに日本の情報ビジネスの下降を心配する方へ
ソフトバンクの孫さんがtwitterを積極的に使い出した頃から、何かが変わってきていることがわかる。最近では政界に進出してほしいという人もいるくらいだ。つまり経営者自身が前面に出て、自分の事業の目標と社会の問題解決に対して発言するとか、twitterでやりとりをすることが始まった。今までの日本の企業の側近まかせとか、広告代理店任せではないところに、消費者からの信頼感が生まれている。日産のゴーンさんも社内改革の時には自分が前面に出ていた点では共通するものがある。ちなみに直近の四半期決算ではソフトバンクの営業利益は日産の80%のところまで迫っている。逆に旧来の大手情報メディア産業というのは会社の成り立ちからして、こういった経営者が会社を代弁するような経営にはならないので、ソーシャルメディアの時代には浮かび上がることは難しいだろう。
表面的にはマスメディアが下降してデジタルメディアが右肩下がりという図式があるように見えるが、その内実は時代にあった会社のあり方や経営の手法というのが変化しているわけで、経営者がそれを身につけているかどうかの差が、マスメディアとデジタルメディアの差になって現れているといえる。今日のパソコン文化を作り出した人々自身がビルゲイツであれスティーブジョブズであれ手本になっていて、それ以前の事務機通信機器から電算機会社になった会社経営にはかなわない点がある。それ以降のネットの時代、またデジタル化したコンテンツの世界も、ある意味では変化に富む不安定な環境の中でビジネスを育て上げることができるのは、日本式株式会社ではないメディアベンチャーであることは明らかだ。
つまりメディアビジネスは日本式株式会社の下降線と、メディアベンチャーの上昇線がクロスする時代にさしかかっていて、おそらく近いうちにネットとTVが組合された何かが出てきて、その発達の中で主導権がメディアベンチャーにシフトすることが始まるだろう。ちなみに一方通行のマスメディアが無くなることもマスでなくなってしまうこともないが、第1党ではなくなってしまう。Facebookが5億ユーザに達したように、双方向のソーシャルメディアの方がもっとマスになってしまう。音楽ダウンロードもeBookもソーシャルメディアとともにこれからビジネスをすることが主流になり、既存マスメディアは「その他メディア」になるというのが、メディアビジネスの潮流である。(消費財すべてがそうなるという意味ではなく、デジタルコンテンツを売るものは先行してそうなるという意味)
では日本式株式会社の経営安定感を残しつつメディアベンチャーのような変化に対応できる経営をするにはどうすればいいのだろうか? 残念ながら日本式株式会社の母屋の庇の下ではメディアベンチャーは不可能だろう。10年後に生き残っていける次世代メディアビジネスを構想し、事業計画を作成し、トライアルを行いつつ、組織もパートナーシップも築いていく訓練を不断にしていかなければ、アメリカのメディアベンチャーの後塵を拝する状態から抜けられない。日本式株式会社は出資者に徹してもらって、新しいメディアビジネスの支援と人材育成に協力してもらうのが望ましい。そのために必要な人材育成を考えて試行する場をこれから作っていかなければならない。