投稿日: Jun 20, 2015 1:0:40 AM
あるBlogで象設計集団という設計事務所のことを知った。建築のことは良く知らないのでサイトを見ても凄さはわからないのだが、Blogの方には、「例えば老人ホームを設計する為にはまず設計のスタッフは住み込みで一年程その老人ホームで働いて、その後設計を始めるといったようなスタンス」ということが書かれてある。まさにそういう仕事をしたかったのだなあと今さらながら過去を振り返る。
何処かからの借り物の知恵で、一晩で「こうするといいですよ」という提案を作っただろう、と思われるものが充満している今日の日本において、貴重な会社である。
またこの会社の「7つの原則」という中には、「6 あいまいもこは,限定されないで,どっちつかずで,はっきりしないことです。建築か庭か街か,内部空間か外部空間か,建物か衣服か,遊びか仕事か,今か昔か未来か,完成か未完成か,株序があるのかないのか,部分か全体か,本気か冗談か,生徒か先生か,誰がデザインしたのか,‥‥‥私たちはこのようなことがらについて,あいまいもこな世界に住み続けていきたいのです。」と書かれていて、これも同意できる。
何かを作る際に完全なものを完成させようというのは徒労で、完成度の高いものには威圧感があったり、親しみがもてなかったりするし、そもそも完全なものなどできないか、あるいはほんの一時しか完全とは言えず、いろいろな要求が出てきても、「完全」であるが故に後の要求を拒否したりする。
むしろいくらか不完全さがあっても、その先にいろんなイメージが広がる方が居心地がよくなるのは不思議だ。
以上のことは、モノを作るにあたって考えられる要件をどのように整理するかということだと思う。会議などで考え付いて出し合う要件と、冒頭の老人ホームの例では内部に身を置いて感じる要件というのは、ずれているところがある。それは会議では言語化とか文書化できることしか採りあげられないからである。
不動産を購入する際にも金額や仕様だけで決められるものではなく、やはりその場に行ってみないと決断できないのと同じだろう。
よく「顧客視点」というが、顧客のことを十分理解するために時間を使っている会社はどれくらいあるのかと考えてしまう。
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