投稿日: Oct 24, 2013 12:4:12 AM
イノベーションの付き合い方
3Dプリンタに期待が高まっている。クラウド云々はあまり食指が動かなくなったかもしれない。デジタルサイネージに至っては不発だったような印象をもつ人もいる。トレンドやトピックスというのはこのように常に移ろうものである。だからこのような話題に一喜一憂していては、何時までたっても自分のビジネスドメインを強化することはできない。これらトピックスの中から、自分のビジネスに必須のものを嗅ぎつけて、それらを吟味・絞り込んで、着々とモノにするという段階に移ることが必要である。
何かイノベーションが突然に起こったとしても、それが実用化して効用が顕わになるまでには、さまざまな工夫や改良が必要で、その一つ一つの積み重ねによって次第に旧来技術に打ち勝っていくものである。図の破線の技術の進歩とはそのようなものなのだが、ビジネスをする側から見ると、最初に多くの人が着目してマスコミにもしばしば取り上げられ、過剰な期待が寄せられてしまう(図のピンク)。今の3Dプリンタがそうであって、旧来技術で制作した方が安くて早いもので3Dプリンタで取り組んでみたりする。今まで制作上に何か支障があって、本当に3Dプリンタの登場を待ち望んでいたものでないものでも3Dプリンタに着手する。
当然これらは過剰投資になって、世の中にいっぱいベンチャー企業が生まれるが、どこかの時点で3Dプリンタから撤退する。電子ペーパーも一昨年から撤退傾向になってしまった。こういった失望の時期(図のブルー)を迎えると、羹に懲りて膾を吹く、のようにしばらくの間はそのことを忘れようとする。しかし粘り強く改善を重ねる会社も幾らか残って、その後も進歩を続ける(図の破線)ので、失望して対応を中断した会社はビハインドな状態に陥る。あるとき気づくとそのイノベーションはビジネスに必須の要素になっていて、あわてて追いつこうと再度勉強するはめになる。
つまり図のピンクの部分は過剰な期待によってムダ遣いして、その後の失望期のブルーの部分は遅れてしまうというように、取り組みの極端なブレになってしまうのが常なのである。デジタルサイネージも商業施設のリニューアルによって着実に定着し、紙のポスターやパンフレットが置き換えられている。ポスターやパンフレットの仕事をやるにしても動画編集も求められるようになるのは、カタログとhtmlの両方が求められるとか、PDFとEPUBの両方が求められるのと同じで、必然なのである。
だから経営陣は中期的な展望やビジョンや戦略に一定の見識が求められることになるのだろう。