投稿日: Dec 15, 2012 12:39:15 AM
真に重要なことは何かと思う方へ
2012年は7インチタブレットの話題で持ちきりだったといってもよい。しかしそこでどんな知見が得られつつあるのだろうか? デバイスと使われ方の関連についておそらく何らかの経験を積んでいるのはAmazonだけではないだろうか。Kindleが電子ペーパーの優位性を訴えていた段階から手の平を返したようにカラーのタブレットをだしたように思えたが、実際は異なる利用者セグメントを狙っていたわけで、こういった棲み分け戦術ができるのは、今のところAmazonだけかもしれない。Googleはタブレットは負けずによいものを出したものの、それでどんなコンテンツビジネスをするのかがまだ見えない。
新しいガジェットは昔からそれなりの話題にはなるので、ネットでもいろいろ比較はされるが、来年はそのままあるかどうかわからないものを延々と比較していてもキリはなく、そこから何の知見も得られない。日本がマイクロエレクトロニクスを引っ張っていた時代にはハードウェア側からの情報が入ってきて、次ステップがどうなるかという議論があり、そんな夢物語がノートPCとして姿を現し進化させてきた。しかし記事『実はムーアの法則は数年前に終わっていた』で書いたようにエレクトロニクス事情は変わってきて、スマホ・タブレットはSystemOnChipの時代になって、日本の出る幕は液晶とかカメラなどのモジュールに限られてしまった。
日本でスマホやタブレットというガジェットに熱心な人も、実はどこが日本の技術なのかはよく知らないし、しかも中心部分であるシステム・オン・チップはほとんど話題にならない。要するにもう日本はこの分野に踏み込んでやろうという人はいないということだろう。個人的にはこういった2年で変わる作り捨ての世界は相手にする必要は無いと思うのだが、電子書籍の話をしていても、話はいつの間にかタブレットの良し悪しやお買い物の話になりがちである。
これ何とかならないでしょうかね。ガジェットの話から離れて、さまざまなデバイスでテキストを利用できるようにということでEPUBは考えられたのに、そういう標準化の到達点を踏まえないで今後のことを考えても、行きつ戻りつの状態から抜け出すことはできないだろう。コンテンツがデバイスや流通に縛られることが少なくなって、クリエーターと人々のつながりが増えることがメディアの発達であるはずだ。
関連情報
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