投稿日: Nov 28, 2015 1:16:13 AM
今や黒人音楽はpopsのジャンルにもあるしレコードの中でもかなりの比重を占めるものになってきた。私はアメリカ黒人の45回転盤blues、R&Bを集めているが、それらについては偏りがあるせいか、日本では話題にならないものがほとんどだった。それは何かを考えてみると、アメリカ黒人を対象に作られた音楽であることで、それらは非黒人を意識して録音された音楽とはどこか違いがあって、非黒人には受け入れらにくい傾向がある。
非黒人の間でポピュラーなブルースマンにBuddy Guy が居る。YouTubeで検索すると何十という動画がアップされていて、いろんなところでいろんなミュージシャンとセッションをしていたことがわかる。Buddy Guy と同年代に Little Joe Blue という人が居て、Bluesのヒット曲も複数あるのだが、YouTubeに一切動画はアップされていない。2人のレコーディング活動を比べると次のようになる。
この年表はデビューの45回転盤から黒人向けの45回転盤の最後までを太黒線で示してある。年齢は2歳違いだがデビューはBuddy Guy の方が5年早く、その後10年のうちに十数枚の45回転盤を出している。「..」はレコード番号を省略しているもので、枚数として1枚に相当する。この10年の間にAmerican Folk Blues Festival のツアーでヨーロッパを回る機会があって、世界的に名前が知られた。一方でLittle Joe Blue が初めてヨーロッパに行ったのは1982年でBuddyより20年ほど遅い。
Little Joe Blue は1966年からR&B界にヒットを出し、1990年に肺がんで亡くなるまで、コンスタントに45回転盤(LPも)を出し続けていて、黒人向け45回転盤の数では30年弱のトータルでBuddy Guy の3倍くらにのぼる。日本でもLPは2枚くらいはあるはずだ。しかしBuddy Guy のLPは日本でも20-30枚くらい出ているかもしれない。それは年表のLP'sのところに示した期間に、ツアーを含めて世界のあちらこちらで録音されていたからである。
Buddy Guy は何十枚のLPを出すようになって、黒人向けの45回転盤を出すのを止めてしまったのである。非黒人相手でもミュージシャンとしては忙しく過ごしたであろうが、黒人音楽ではあっても黒人向音楽ではなくなったことを本人はどう思っているのであろうか?
別にBuddy Guy と Little Joe Blue のどちらが偉いとか言うわけではないが、アメリカにおいてはBuddy Guy よりも Little Joe Blue のような黒人の方が沢山居て、やはり彼らの真似は非黒人は行わないし、評価も低いかもしれないことを残念に思う。
Little Joe Blue の最後の録音は1988年のevejimへのものだと思うが、ある意味で保守的に1960年代と共通する音楽であるし、円熟もしている。その頃からBuddy Guy はロックのstar達と共演する姿がYouTubeに多く残されている。まあBluesの伝道師的な役割は果たしているといえる。
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