投稿日: Oct 29, 2011 5:40:39 AM
メディアビジネスはECに学ぶべきだと思う方へ
商品力があるがビジネスとして伸ばすのはいろいろ課題があるので、今まで手がつかなかった商材がネットの普及によって日の目を見た例は多い。数年でビジネスを大きく伸ばしたところは日常的に試行錯誤の繰り返しで、その間にところどころ脱皮する機会がある。つまり一人で手作りで始めたネットショップのままで大きくなるわけではなく、ビジネスの考え方、管理方法、パートナーなどを見直して成長するのである。そしてそれは記事『しがらみがないと、実力が問われる』で書いたように、過去からのルーチンで仕事をしている人から見ると激しすぎるものと映るかもしれない。
ネットショップの出番として多いのは、新分野・新製品であるので、まだ流通網が出来上がっていないようなもので、独自の仕入れとかメーカー直販というのも増えている。また地方の特産品で数の限られたものを全国流通するというのも定番である。2011年4月に北海道の海産物を扱う「北国からの贈り物」の加藤敏明社長から、ネットショップが成長するにはどういう壁を超えていくのかというお話を聞いたが、リアル店舗のビジネスとは異なるノウハウを身につけて伸びるのだということが良くわかった。「北国からの贈り物」自身も商材の性質上年末にピークがあるものなので、売れる季節に機会損失がもっとも少なくなるように、倉庫やフルフィルメントなどのアウトソーシング先から、運送業者、課金・決済方法などのサービス面など、ビジネスの構成要素を季節や取り扱い量に応じて切り替えながら最適化を図るフレキシブルな経営である。
今はネットショップ運営で大きな割合を占める広告費の削減をしながら、facebookやtwitterを利用したソーシャルメディアマーケティングにより「費用を抑え販促効果を引き出す」ことに取り組んでおられる。メーカー直販の場合は従来から大手広告代理店との関係が出来上がっていて、マーケティングは丸投げでTVCMに依存するというパターンもある。確かにテレビの着目率は高いもののテレビショッピングはリテンションが効かないので、従来のDMやチラシをばら撒くようなことをやっていると、販促費がかかりすぎる。直販でも独自のマーケティングをしないと競争力はつかないので、要するに販促も物流と同じく過去のルーチンワークのままではならない。
まず自分たちで顧客とのコミュニケーションをする上ではソーシャルメディアが必要で、基本的なクチコミの仕組みは作っておくのが今日の流れだ。その上で拡大キャンペーンをする際にはマスメディアやイベントなどを必要に応じて足し合わせていけばよいわけで、最初からマス戦略をするのは冒頭のネットショップの特性には合わないだろう。つまりビジネスの成長には media buying も必要になるので広告代理店も使わざるを得ないが、あくまでトータルなコミュニケーションを増やしてネットショップへのレスポンスを増やすクロスメディア型の販促を試みるべきである。昨今話題の「スカルプD」の手法がそれにあてはまる。
日本のビジネスでは一般常識になっている既存のやり方を見直せば、今の生活者と向き合った効率的なビジネスの方法がまだまだあることをネットショップから学ぶことができる。
関連セミナー http://www.mediverse.jp/
2011年11月24日(木)18-21 “費用対効果最大化”を狙った儲かるための通販・ネット広告 ~低コストで売上・利益を上げリピーターを獲得する広告戦略とは?~