投稿日: Jan 25, 2012 12:24:1 AM
グレイなサービスは危ういのかと思う方へ
アメリカのオンライン海賊行為禁止法法案SOPA/PIPAに抗議してWikipediaなどがブラックアウトし、この法案反対の議員が過半数を超えた直後に、世界最大級のファイル共有サイトMegauploadの責任者がニュージーランドで逮捕され、サイトが閉鎖され約38億6000万円差し押さえられた。なかなか政治的でキナ臭いものを感じさせる一方で、有料会員から約116億円、広告などで約19億円、あわせて約135億円以上の利益をあげていたことはびっくりである。こういった海賊版普及を支えるビジネスがいずれ摘発されるであろうことは誰もが考えていたことだろうが、どこまでがクロでどこがシロかの判断基準が注目されていたと思う。
このニュースではアメリカの法律に触れるということでニュージーランドで逮捕されたことにショックがあったようだ。オサマビンラディンのようにどこに潜んでいてもFBIとかは襲撃にくるイメージがある。アメリカがMegauploadを敵視している理由は、関係者がアメリカ人ではないからではないのか。Kim Schmitzはフィンランドおよびドイツ国籍で香港およびニュージーランド居住、Mathias Ortmannはドイツ国籍でドイツおよび香港在住、Finn Batatoはドイツ国籍、Julius Benckoはスロバキア国籍、Andrus Nommはエストニア国籍でトルコおよびエストニア在住、Van Der Kolkはオランダ国籍といわれている。つまりこれらの人たちからするとアメリカのコンテンツビジネスの世界支配に挑戦しているわけで、アメリカ国内のコンテンツ市場を荒らしたからだろう。そういう意味では9.11同時多発テロと同じようなものである。
コンテンツのコピー問題は世界的にはもっといっぱいあって、中国でも相当数のコピーがネットで出回っているだろうが、そこはもともとアメリカの市場ではなかったわけだし、中国がアメリカ人向けにサービスするわけでもないので当面は見逃されている。いつの日にかアメリカは中国との取引に使うカードとして置いてあるのだろう。またアメリカ国内でもYouTubeには違法コンテンツが上がることがあるが、摘発と取り下げの機能があるので合法サービスを標榜することができる。Megauploadなどの違法性の高いサイトは、違法摘発と取り下げの機能が中途半端で実際には抜け道があって、一見すると遮断しているように見えてもずっとダウンロードが可能にしているからだ。つまりフリーダウンロードをする目的で運営しているのが明らかだから潰されたのだ。
もうひとつは、YouTubeもGoogleもfacebookもアメリカ内のサービス会社は基本的に政府に協力せざるをえないので、まるで司法取引のように、グレイな部分に目をつぶってもらう代わりに、政府に情報提供をしているという、持ちつ持たれつの関係を構築している。以前日本の電話会社や郵政あるいは金融機関が犯罪捜査や犯罪の可能性のあるところの内部情報を調べるのに協力していることを書いたが、国家にとって莫大な情報が1箇所に集中しているクラウド時代はものすごく監視や世論操作が行い易いものになろうとしている。中国政府も情報経路を把握できるインターネットの普及はマイナスではないと考えているはずだ。アメリカにとってはMegauploadのようなヨーロッパのハッカー系組織は何の価値も無いからバッサリやられたのだろう。