投稿日: Jan 14, 2016 1:0:42 AM
IoT(モノのインターネット)というと、今までネットとは縁の無かったところに、ワンチップ化した小さいコンピュータ(SoC)を使って、何か開発するような「未踏」に焦点が当たりがちだが、すでに何らかでデジタル化しているものとか、ネットにつながっているものもIoTの重要な対象であると思う。意外にいろいろな仕事のデジタル化やネット化というのは作業に煩雑さを増やしてしまったものが多いから、それも何とかしなければならないからだ。
例えば、作業の対象物に何らかの検査装置を当てがって、計測とか診断をする場合に、今は機器の設定をするのにノートPCなどが横に置いてあってUSBでつながっている。そこからパラメータを与えるとか、データを読み込んでプレビューするとか、アプリに読み込んで処理させるようなことがある。大抵の作業はこのように変わってきたのだが、操作する人は機器の操作とPCの操作を同時にしなければならない。機器操作は単にボタンを押すだけのような単純なものであっても、PC上でJOB指定(誰が、何を)とか、データの確認とか、データの保存・転送というのをする方が煩雑になってしまう。
こういうのは駅の改札でICカードを使うがごとく「誰が、何を」を自動化されるのが好ましい。またIoT的にはPCに転送するのではなく、クラウドアプリを中心にして、クラウドから機器設定をして、機器そのものからクラウドにデータを送り、クラウドアプリで処理するようにしなければならない。
このようにすると、作業者は機器操作だけですべての作業ができるし、もし画面操作のようなものが必要ならば、クラウドにつながっているタブレットなどを補助的に使えば、静止画・動画があっても作業に十分なことができるだろう。
こうするためには、先にクラウドアプリが出来ていなければならないが、そこが日本の弱いところかもしれない。従来は機器のハンドリングはPCでの操作に委ね、クラウドに必要なデータ形式もPCで処理していたわけで、それらPCでやっていたことをすべてクラウド側に置き換えなければならないからだ。
PCが中心的な存在であったのは、WindowsなどのOSの元にデバイスのドライバもアプリケーションもあったからで、PCのOSがこういった仕事すべてのハブになっていたといえる。そうするとIoT化を進めるにはクラウド側にOSのようなものが必要になる。それはクラウド業者やネットワーク業者が提供するもの、コンピュータOSを作っていたところが提供するもの、ミドルウェア的に第3者が提供するもの、などの間での競争になるのではないだろうか。
これらが見通せるようにならないとIoTは容易には扱えない気がする。
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