投稿日: Apr 11, 2015 4:27:43 AM
昨年に青色LEDでノーベル賞がとれたことは、日本に少しは元気をもたらしたのだろうとは思うが、近年の日本は半導体に関してはどちらかというと負けが込んできている。スマホのCPUのようなARMを使ったSystemOnChipでは大きな後れをとっていて、Raspberry Pi を輸入して遊んでいるだけでは産業としての力にはならない。SystemOnChipを開発するCADシステムを開発しなければ競争の先頭には立てないだろう。
なぜ日本では半導体という産業があれほど活発だったのに、その延長上の発展が乏しかったのであろうか?SoCのCADの例のように、突込みが甘いのではないかと思う。もし突っ込めばあらたな領域が開けてくるものだ。
マイクロエレクトロニクスという微細加工技術の先には、単なるトランジスタやダイオードの集積だけではなく、マイクロマシンのような分野もあったのだが、それも日本は後れを取ってしまった。プロジェクタに使われる Digital Micromirror Device とか、その逆の応用のようなシリコンマイク、またスマホやドローンで脚光を浴びた加速度センサーなど、マイクロマシンと共通性のある分野は世界を作り変えるほどのポテンシャルをもっていることが、ようやくわかりだした。 モノのインターネットを云々するならモノの制御のことも同時に考えなければならない。
シリコンマイクは殆ど電気を喰わないで非常に小さいので単価も安いが、それを今までのマイクの代わりとして使うのなら、あまり商売にはならないかもしれない。しかし大量に使って新たなアプリケーションができるものである。例えばたくさん向きを変えて並べて、その差分データを処理すると、特定の方向の音だけ拾って、他はキャンセルすることで、超指向性がよいものができる。つまりノイズに埋もれた環境の中から話者の音だけ拾い出すとかがやりやすい。
ドローンというのも浮力はモーターにプロペラがついているだけで何の革新性もないのだが、Segwayなど一輪車と同様に姿勢制御ができるので、空中カメラのようなものが発達した。 姿勢制御はあらゆる移動物の制御に必須のものとなりつつある。手術後のリハビリとか高齢者が何らかの欠陥をもっていてヨロけるような問題も運動機能を補助する装置が役立つようになるかもしれない。
青色LEDの場合、LEDを照明に使う研究を大手電機メーカーが本気でしなかったから、日亜にチャンスがめぐってきた。大企業がトレンドにのって金儲けしやすいものを狙っている間隙で、エンジニア個人が社会全体をみわたして大きな夢をもつことがチャンスにつながるように思う。
日本の大企業はRAMとか液晶のように現金化しやすいものを補助金も付けて頑張ったことの反省が足りないし、頑なにエレクトロニクス→IT・情報通信と短絡的に思考して、活動範囲を自ら狭めてしまったのではないかという気がする。
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