投稿日: Feb 12, 2016 1:0:39 AM
日本が電子政府ではなかなか前進しないことを何度か書いている。戸籍の和文タイプはこの4月頃にやっとなくなるそうである。近年はタイピストが70歳以上になって要員確保が難しいとか、タイプの修理が大変とかいっていたが、そんな苦労をするよりもとっとと電子化を進めるべきであった。しかも法務省は戸籍の業務を各自治体の窓口に任せているので、戸籍のシステムは自治体ごとに発注している。いまどき日本人の全員のデータは一つのパソコンに入ってしまう時代なのだから、法務省が戸籍管理のクラウドを一つ作れば済む話である。
これは笑い話ではなく、民間でもそれに似たことはしょっちゅうやっている。IC乗車カードの最初から相互乗り入れ問題はあったわけだし、システムを考える際にそれは踏まえておくべきことは、誰でも思いつくことである。しかし現実にはそのようなベクトルでモノゴトは進んでいかなかった。
欧米ならばトップとかリーダーが目標設定とか方向性を一度決めたら組織的に邁進するようになるのが、日本ではそうではなく、頻繁に人と人が額を突き合わせながら延々と細かい議論ばかりして遠回りをする。こういった姿は日本の一般企業の中でもよく見受けられる。言い換えると真のリーダーとなる人材が不足しているということなのだろう。
電子教科書も目標設定とか方向性の議論こそが重要で、実施方法などは民間に任せればよいことなのだが、官制プロジェクトの常として思想的なリーダーが不在で動いている気がする。
日本は社会の成熟化というか国内は経済的に伸びない時代なのだから、コストがかからないように効率化することが「豊かさ」をもたらすはずなのに、そのような転換ができにくく、負の部分を皆で分かち合う傾向にある。抜け駆け禁止で共倒れが美徳であるかのような雰囲気があるように思えてならない。
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