投稿日: Jul 08, 2014 12:8:34 AM
Own Agenda
将来にビジョンを描いてビジネスを改善していこうという指向と、ビジネスが行き詰まったから逃げ道を考えるという指向は、全く正反対のように見えても、実はやっていることは同じ様に見えることがある。近年スマホの伸長が目覚ましかったのに対してガラケーは3分の1くらいになってしまったが、スマホで頭角を現したゲームがある一方で、ガラケーの有料コンテンツをスマホに転換できずに没落していくところもある。
スマホ対応ということでは両者は同じ様に見えるが、過去のコンテンツをなんとか生き長らせたいという指向と、スマホという新たなプラットフォーム上のサービスを考えようという指向は全然異なる。
Webに広告を出してもあまり効果がなかったから、これからはモバイルの広告をしなければならないなあという指向と、モバイルユーザの特性から考えるとこれから売れるものは何だろうかという指向も、やはり対照的である。同じスマホに出てくる広告であっても、この指向の差が創意工夫の差となって表れてくる。前者のWebからの落ち武者組は広告代理店の勧めるままに広告を打つかもしれない。後者は広告の打ち方の工夫と同時に売るアイテムの工夫もするだろう。
前者だって会社からはもっと工夫せよと檄が飛ぶかもしれないが、今までのWeb担当者がモバイルも背負わされて、身動きが取れないし予算も取れない。メディアの数を増やせば増やすほど人的負担は増えていくからである。だからこの場合に見直さなければならないのは、ビジネスの棚卸であって、事業を整理する必要があるのだろう。
もっとわかりやすい例は出版であって、紙の本が売れないから電子書籍をやりたいという動機は、もう落ち武者の心境である。そこには電子書籍で切り開ける未来像というのが何もない。もし前向きにこの問題を考えるのなら、今紙の本の販売の壁がどこにあるかを知っていて、それを乗り越えるのに電子書籍を使う戦略なり戦術を考えることになるのだろうが、その前提としては相当販売時点の現状を知っていなければならない。従来の日本の出版社は販売を取次と書店に任せていたので、実読者との接点が薄いために、販売の壁が見えにくかった。
日本でもTUTAYAあたりの売り場主義のところが真剣に電子書籍を考えるようになると、電子書籍の未来というのも今までとは違った像がでてくるのかもしれない。(今のところ未来像を語る人は非常に少ないと感じる。)