投稿日: Apr 24, 2012 12:17:16 AM
少々の改善では立ち直れないと思う方へ
1980年ちょっと前から日本語ワードプロセッサが登場し、OA化で文書システムの構築というのが始まった。それまでの電算課とか漢字計算センターなどに閉じ込められていた日本語処理が日常のビジネスとつながるようになって、30余年が過ぎて、今では幼児が漢字を覚える前に仮名入力を覚えてしまうことも起こっている。ひょっとすると幼児が漢字をおぼえるために発音を漢字化するスマホアプリというのも、もうどこかにあるのかもしれない。そんなことを考えていた矢先に、千葉で戸籍に使う和文タイプが手に入りづらくなって大変だという話を聞いて耳を疑った。しかし戸籍業務はまだコンピュータ化されていない市町村があって、すべて紙に和文タイプで打って処理しているのは事実のようだ。
和文タイプはメーカーによって配列や操作性が異なってオペレータの派遣が難しい。あちらに経験者がいるからといって、すぐにこちらで仕事ができるわけではない。銀行のコンピュータ端末では未だに特殊なものもあるようだが、一般にPCなどASCII系のキーボードを使っている場合はどこでも仕事ができるので、改めて標準化したことの意義は大きかったと思う。その上で情報管理というのもファイル・フォルダ・データベースなどと表示・プリントのやり方もだいたい似た方法が世界共通で使われるようになって、かつて「後進国」「発展途上国」と呼ばれていたところも、ITに関してはほぼ同じような流儀で仕事をするようになっている。つまり「後進国」「発展途上国」の方が標準化されたムダのないIT化がされている面もある。
そういうところから見ると千葉で和文タイプで戸籍の仕事をしている姿をどう評価するのであろうか? eJapanは進んでいないどころか、事務処理において世界で後ろから何番目の後進性を感じるだろう。日本は先進国ではないという論調が最近時々あるが、少なくともビジネスのやり方でも中国に負けている点は増えている。中国の発展自体はバランスが取れていないところがあるものの、そういう見方をすると日本も相当バランスが悪いといわざるを得ない。スカイツリーができて喜んでいるニュースが多いものの、スカイツリーにどのような革新的な意味があるのかという報道はない。つまりスカイツリーに合理的な用途がなく、それによって何が可能になるというアプリケーションが無いままで、塔として世界一(建造物としてはドバイのビルの方が高い)のものを作っただけである。
民主党政権が誕生して仕分けが行なわれかけたが、結局は行政面の改革はできずに終わった。これは政治が悪いとか政治家の問題だけではなく、やはり下々も含めて改革に消極的なことも含めて、日本の後進性を浮き立たせるようになってきたと思う。企業でも行政でも改革による効率化をしないと、過去の貯金がなくなるのがどんどん早まってしまう。つまり効率の悪いシステムを改善できそうなところは積極的にスクラップアンドビルドすることが必要なのである。