投稿日: Nov 20, 2012 1:43:29 AM
寄せ集めはマズいと思う方へ
Webサイトはどの会社でも組織でも必要なものであるのに、意外に構築に関する専門の相談相手は居ない。ほとんどのWeb制作会社はデザインとかCMSの仕組みとか表示部分の制作に関しすることが主業務で、経営側からの視点で全体をどう考えるかというコンサルの会社は、相当大きな企業相手の仕事しかしていないように思う。サイトのコンセプトからちゃんと設計するところは少なく、通常は企業の各部署の要望を足し合わせてWebの設計をしている。
過去にも何度かWeb制作の発注をして、一番困ったことは社内の要望のレベルがバラバラであることだった。Webを使うと売り上げをこれくらい伸ばせるだろうと積極的にもくろむ部署もあれば、Webなど印刷物と同じ内容を並べておけばよいと考えるところまである。そのために利用者から見ると、よく利用者の立場を考えた練られたページと冷淡なページが混在することになってしまう。世の中のサイトを見ても、売るのは熱心でも購入者サポートが不熱心とか、逆に売りはそっけなくてサポートが主体とか、最悪はどこにも熱心なところがなくて、なぜそのサイトがあるのかわからないところまである。
結局総体でいえば企業のWebはそれほど見られないようになっていて、Webが広報的にはなっていないことが多い。これはWebが広報予算で始まったところがなりがちなことで皮肉である。その一方で通販のようにWebが売り場であり営業マンであるようなところのほうがずっと人々によく見られているだろう。それははっきりした目標があるからで、デザイン的な良し悪しよりも、Webの効用という合理的な判断基準があるからだ。メディアもPDCAが回らないと改善はなされないということだろう。
既存のWebのコンセプトでも明確に出来ないような組織がソーシャルメディアで何かしようと考えても、やはりそれほど役立つものは出来ないだろう。つまり自分の組織の果たすべき役割と、Webなりソーシャルメディアの役割の接点をイメージできるのかどうかの問題である。またそういった企業のアイデンティティやメディア化のコンセプトを社内の各部署で理解してもらわないと、全社的に取り組むことができない。というようなことをいうと、大抵の会社にとって大変荷の重い仕事になってしまう。
しかし日本人は物事を複雑に考えすぎるからすぐに前に進まずに立ち止まってしまうのだが、オーナー企業では比較的にシンプルなコンセプトを作りやすい。その典型がSteve Jobs が居た頃のAppleだろう。今の日本は組織の中にも過去から引きずっているものが多くあってコンセプトをまとめにくくなっているが、やはり過去は見限って前向きのビジョンを持たないことには、メディアの活用はおぼつかないだろう。
Mediverse+EBook2.0Forum 11月の研究会