投稿日: Aug 28, 2011 11:14:29 PM
サラリーマン病が蔓延していると思う方へ
かつて、SonyPlazaという小物・文具・雑貨が置いてあるしゃれた店舗が繁華街にはあった。商品はSonyとは関係ないのだろうけれども、Sonyのイメージに合致する便利で気が利いていて洒落た雰囲気の商品を扱っていたので、若い人に人気があった。特に流行に敏感な若い女性などにターゲットを絞っていたように思う。男性やもっと年齢層の上の人に対しては「王様のアイディア」というグッズの店もあちこちにあったが、今はどうなっているのだろうか。吉祥寺で確かSonyPlazaがあったはずの場所が100均のダイソーになっていた。しかも賑わっている。もはやかつての「高付加価値」という商品戦略は一般大衆には通じないのか?
昔アメリカに行くと、あると便利グッズがいっぱいあって、それらを見て回るのが楽しみだったり、お土産に買って帰ったものだったが、その手の気が利いた商品は日本でも当たり前になり、むしろ日本の方がきめ細かい設計がしてあって、アメリカのものにはトンと興味が持てなくなってしまった。つまり気が利いたきめ細かい工夫は日本人の方が得意だったのだろう。それらの中国製コピーが近年100均に多く見られるようになった。さらに電子系商品は日本にもなかった工夫がされたり、場合によっては斬新というかリスキーな新商品も中国で作られて、日本に持ち込まれるようになっている。今後しばらくも中国製はパチモンが主流ではあろうが、オリジナルで面白いものも出てきていることに注目した方がよい。
100均商品も必ずしも中国製とは限らず、日本のものもかなりある。組み立て工数のかかっている商品は中国には原価で太刀打ちできないが、おそらく製造元の町工場のようなところにとっては自動で作れるものなら、100均に直接納入するのと、日本の複雑な流通網を経由する場合で、出荷の価格はそれほど違わないかもしれない。しかしそれだけで今後やっていけるとは思えない。中国に見習うべき点は、無名の会社でもハングリーに新製品開発をしている点と、義烏のようなオープンで直接買い付けられる簡素な流通である。日本人が使い勝手の工夫に長けているとしても、開発意欲や流通簡素化が伴わなければ中国製と競争のスタートラインに着けないのだ。
これは実はどんな業界にもいえることで、FedExよりもヤマトや佐川の方がきめ細かいサービスをしているし、それは通販を発達させた面もある。つまり仮想ライバルを想定してでも社内の開発意欲・改善意欲を高めて、フローの大胆な簡素化をITによって達成させること(eBusinessと呼ぶこともある)である。この逆のことをしているのが日本の家電業界で、先に既存の流通があり、TVの開発までも諦める方向にある。メディアやコンテンツの世界は、ネットで流通が劇的に変化して、既存の流通外でビジネスを考えねばならないのだから、開発意欲さえ盛り立てられれば変身が可能な世界だと思う。