投稿日: Jun 27, 2015 12:5:27 AM
デジタルでマーケティングというと、どうしても個人情報の扱いとか、ビッグデータ云々という話になっていくが、データ処理を考えるうえでいろんな勘違いがあるように思える。つまりマーケティングをする際には、人の属性と商品のマッチングを目的としているので、個人情報は最終的な目的ではない。にも関わらず、システムで個人情報を扱うとなると非常に大げさな考え方になってしまう。そうなる原因は個人情報を保存しなければならないという誤解からきていると思う。
商業目的ならば個人の属性情報には当然ながら賞味期限がある。人は年を取るので、マーケティングは世代という考え方をするが、もっとOneToOneなマーケティングをするなら年齢(あるいは推測年齢)を扱わなければならない。特に若い人は3年も経つと、進学とか就職でライフスタイルが大きく変わってしまうことが普通である。対象となる人の生活が変わってしまった後も、個人情報として古い属性など保持していても役には立たない。しかしシステムの人はデータが役立つかどうかということは無視して、セキュリティとかビッグデータ処理の話をする。
OneToOneマーケティングをするなら、顧客とか見込み顧客のデータを活用できるのはせいぜい半年の内だと思う。そのために漏えいリスクの高いシステム運用をするのは馬鹿げている。むしろ取得した個人情報をふるいにかけてどんどん消し込をして減らしていくようなシステムの方がよい。
アメリカのDMというのは、最初から反応に応じて次にどのようなアクションをするのか明確になっていて、反応が無ければ単純に割り切って捨ててしまうことを繰り返す例をみたことがある。最終的には時々買ってくれる顧客の取引データだけになってしまって、見込み客のデータはほとんど管理していないように見受けた。
見込み客データは自分で保持するよりも外部のものを使った方がよいからだろう。 外部のものとは、異業種と組んで、その顧客にプレゼントなり特典を提示して釣るようなプロモーションである。そのプロモーション時の宛名は自分で持たずに異業種にやってもらって、反応のあったところのみ登録やコンタクトや商品発送をするので、名簿データの一人歩きはない。生活者からすると、プロモーションが自分にかけられても無反応だと、もう同種のものは2度と案内がこないことになる。 つまりプロモーションと個人情報の関係はなるべくシンプルにして、1度限りの関係にしてしまえば、似たようなDMが別ルートでいくつも来るようなことはなくなるはずだ。
つまりマーケティングからプロモーションまでのロジックを整理する必要があるということだ。これを曖昧にして、あれもこれも数撃つDMをしても、何が良かったか悪かったか分析ができないだろう。そんな状態でビッグデータ云々に投資しても意味がないことは明白である。
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