投稿日: Mar 18, 2016 2:0:3 AM
10年くらい前からデジタルサイネージの日本語名称はどうなるのかと考えていたが、未だに適当な日本語は無いようである。今は既に繁華街の駅の周りや商業施設では電飾看板のかわりに動くポスターのようなものが多用されているし、JR山手線のトレインチャンネルを始めに多くの電車やバスでも動画広告が流されている。この2例でもコンセプトは異なっていて、前者はテレビコマーシャルのような動画というよりは、その場の雰囲気を演出するインスタレーション的な指向でクリエイトされているのに対し、後者はほぼテレビコマーシャルに近いものになりつつある。さらにお店の棚やレジにはPOPのような小さなサイネージがある。
このようにデジタルサイネージと一口に言っても、狙いも内容も異なるし、設備もサービスも運用方法も異なっている。さらに学校・病院・銀行・企業内など人の集まっている場所では掲示板としてのデジタルサイネージが浸透しつつある。これらはクリエイティブ性よりも、バックに何らかの情報システムがあって、そこからスケジューリングをして、必要な時に必要な内容を表示するもので、手作業の運営の要素は少なくなっている。
制作の観点で分類すると、インスタレーションはフラッシュ動画、コマーシャルはビデオとプレゼン、情報システムはWindowsのGDI、それらよりも小規模なもろもろの掲示板はPDF、jpg、html、などであろう。この掲示板的サイネージとは店内や事務所の壁および窓ガラスにベタベタ貼られている紙の掲示物をデジタルにしたようなもので、素材としては印刷物を作った時のPDFとかホームページの一部流用とかになり、デザイン的にもそれら元メディアに従属すると考えられる。要するに掲示板は派生メディアであった。
しかしデジタルサイネージは40型の液晶TVが5万円で買えるとなると、B2~A1くらいまでの掲示物は紙にするよりもディスプレイに出す方が手っ取り早いことになっていくだろう。かつての仕事でいろんなイベントや資格試験をする際には案内のポスターを印刷して関係先に郵送・配送していたが、結構経費が馬鹿にならないので、あまり何通りも作れないし、受け取ったところにも掲示の手間をかけさせてしまう。もしこれらのポスターの配布先に40型くらいの電子掲示板があるなら、掲示してもらいたいコンテンツをネット経由で送れるし、うまくするとこちらでスケジューリングのコントロールもできるかもしれない。当然日程が近付いて来れば内容を差し替えながら案内ができる。
つまり設備的には電子掲示板は問題ないところまで来ていて、そこに掲示すべきコンテンツも基本的には存在するものであるが、掲示の順番やスケジューリングといった運用のところがまだうまいツールが普及していないといえよう。だから掲示板を置いているところの人が本業の合間にデジタルサイネージの面倒まで見なければならないとなると、導入が鈍るとか活用がされなくなる懸念がある。この部分のサービス化が鍵になっていくだろう。
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