投稿日: Jan 21, 2011 11:33:19 PM
既存メディアの束縛が減ると思う方へ
先進国のマスメディアは軒並み下降しているので、そこに働いていた記者やデザイナは他分野に流出している。アメリカの新聞は外部の契約ジャーナリストが多いので、それが署名記事とか記事の独立性につながっていて、自分の記事の宣伝の意味でも記者がBlogを立ち上げることが盛んになったし、そのBlogの質も大手メディアに遜色のないものとなった。つまり自分はジャーナリストであり続けたいと思う人がいるのに新聞メディアの方が雇えない状況が起こったのだ。そこで Huffington Post のようなWeb新聞が登場し、大新聞社のWebよりも高く評価されるようになった。しかしお金の回り方は大新聞にはまだかなわないので、あまり記者の収入にはなっていない。
雑誌に関しても冬の時代から、冬が終わらない北極の時代に入り、デザイナーやライターはWebのメディア作りの仕事に移っていった。これは日本も含めて世界中がそうであろうが、日本の場合は経済的に自立したライターはあまりいない。しかしアメリカは新聞と同じようにBlogメディアがWeb雑誌化して、http://gawker.com/ のようにメディアとして確立しているものもある。つまり紙メディアに雇用されていたり使ってもらっていたクリエーターがWebメディアに再就職するような流れがあって、生活者からするとそれほど品質の違和感もなくデジタルメディアを利用する機会が増えていった。こういった紙に匹敵するWebメディアはまだ日本では成立していない。
ネットはライター探しにも役立っていて、メディアの方から欲しい内容と金額・期間を提示してライターを公募することも盛んに行われている。コンテンツの市場化が進んでコンテンツの流通が促進され、メディアを編成・編集することはいろいろなところで容易に行えるようになる。人をひきつける記事を作り出すデマンドメディアが登場したり、シンジケーションというのもデジタルとネットで新たなサービスが出てきて、紙からWebへの再就職の時代の先に、紙のアナロジーではないデジタルメディアが出てきそうな気配がある。今はiPad雑誌が苦労をしているが、紙メディアのイメージから逃れないと次ステップには進めない気がする。
先般CESの折に、USATodayのWebサイトでは、展示に関するビデオのレポートがアップされていて、USATodayが新聞なのに、まるでTVのような手法を入れていることに驚いた。しかしビデオに登場するレポーターの様子をみていると、制作に携わっている人たちは、元はTV相手に仕事をしていたのであろうことをうかがわせる。TV分野もクリエータの流動化が進んでいるのだろう。ネットによってYouTubeのようなCGM・UGC・ソーシャルなコンテンツが世の中に解き放たれたが、プロのコンテンツも既存メディアから解き放たれようとしているのだろう。