投稿日: Jul 16, 2013 12:39:53 AM
先回り戦略が出来ていないと思う方へ
アメリカはIT産業化によって数学のできる人が就労機会を増やすとか、コーディングを学ぶことが見直されるとか、コンピュータサイエンスが経済や教育に組み込まれる様子が伺える。これは実際は社会の一部の人の活動でしかないだろうが、社会的にコンピュータサイエンスの意味合いが評価されていることは重要だ。Makeというのもフィジカルな発明というよりは、ITやエレクトロニクスを使って再発明・リメイクする再投資というところに比重があるように思われ、広くいえば社会がIT化した上でさらに社会の好循環を作り出す考えがあるともいえる。
このようにアメリカは過去の成功を加速させるようにメカニズムをもっていて、反面では国際競争で負けそうな分野は手を出さなくなるという場合もある。だからアメリカの成功を日本が真似して後追いをしようと思っても、アメリカは加速してしまっているので不利な戦いになるというか、消耗して負けることが多かった。今はクラウドやビッグデータ処理などが戦略・戦術的に加速している分野であるので、そこを手がけたいなら真似ではないひとひねりした日本の戦略・戦術が必要になると思う。
ビジネスの競争とは別に、社会のIT化というのは共通なのだから、日本でもコンピュータサイエンスを教育や経済にどう埋め込んでいくのかというのが大きな課題である。一部には子供にもコーディングやプログラミングの素養を身に付けさせようという動きもあるが、日本の大多数はパソコンなどは時代遅れで、スマホ・タブレットを指でなぞれば済むよね、という気運になりつつある。しかしスマホ・タブレットで何でも出来るようにするところに金が動くし雇用も発生するのであって、そこに日本の競争力がなくなると、日本は消費者ばかりになり、金を稼ぐメカニズムを失うことになる。
新しい分野は若い人のベンチャーに任せておけばよいというのは安易な考え方で、ライトなアプリを作っては消えていく会社がいくら増えても社会の改善とか国の力にはならない。今年度の国の予算編成をみると、やはりハコものへの予算の積み増しがめだつものの、コンピュータサイエンスと経済と教育をあわせたような戦略というのは伺えない。それもeJapanや大企業のネットでのサービスのお粗末ぶりをみていれば、日本のエリート層はITにはまだ懐疑的なのではないかとさえ思えてしまう。