投稿日: Dec 05, 2012 2:7:6 AM
デジタルは使い勝手が悪いと思う方へ
デジタルの媒体であってもPDFのように印刷物ベースの考え方のものは、印刷物と並存して使われる分野には便利ではあるけれども、ネットやデジタルならではの利便性を求める場合には何かと不便である。そこを無理して何とかPDFとデジタルメディアの世界を結び付けようという試みもあった。それはPDFがアーカイブなど長期利用可能なフォーマットであるからだ。例えば薬の開発から発売には10年以上かかるので、その間にワープロやデジタル文書のシステムは変わってしまい、例えばMicrosoftOfficeやAdobe製品のように存続はしていてもバージョンがとんでもなく改定されてしまっている。そこで何もかもPDFにしてしまって、そのPDF内のテキストやグラフィクスを外部のシステムで管理するというようなものがある。
そういったコンテンツを使ってデジタルメディアを新たに作ろうとする場合に大変なのは、ユーザインタフェースの問題と、リクエストにしたがってダイナミックに表示することである。Webは「ポイント+クリック」というリンクのインタフェースで成り立っているし、静的htmlファイルを送り出すだけではなく、その都度に諸条件にしたがってコンテンツを組み合わせるダイアミックな使い方が当たり前になっている。これはWebがサーバーにエンジンを積んでいるのと、PDFがクライアントで処理しているという環境の違いからもきている。つまりPDFはクライアントに負荷をかけない考えであったのだと思うが、あまり他アプリとの連携やアプリ開発には向いていない。
しかし今html5の時代になることは、クライアント側の処理能力がある程度高いことが前提になっているし、Webの「ポイント+クリック」インタフェースでオフラインのアプリも出来るようになることを意味している。ところが印刷やビデオといったアナログ時代の媒体を企画制作していた人はどうしてもパッケージ媒体を考えてしまうので、メニューに従って順番に操作するような使い勝手から抜けきれない。Webでいえば「パンくず」のようなツリーを辿っていくメニュー方式である。これはデータ構造とか一定の操作手順というのを思い浮かべないと設計ができない。
一方でグラフィカルユーザインタフェースというのは、操作は順不同でどこからどう始めてもよいし、突然違うところに移ってもよいイベントドリブンなのである。だから非定型の業務にコンピュータが使えるようになったのだし、Adobe製品のようなメディア制作ツールも高度に発達した。今日では人々はグラフィカルユーザインタフェースに十分馴染んではいるのだが、アプリでイベントドリブンなものをどうしつらえてよいのかという点では進歩はなかったのかもしれない。やはり今でもWebもスマホもメニュー的なインタフェースが主体である。一時はJavaで書いて遊べるようなインタフェースもあったが、そういったものをもう一度見直す時がくるかもしれない。
メニュー方式は確かに分かりやすい方法ではあるが、どうしても階層が深くなってしまう。スマホのように画面が狭くなるとどんどん階層が深くなるのだろうが、利用履歴に従って自動的にショートカットができてナビゲーションしてくれるようなインテリジェントなインタフェースができないものだろうか?