投稿日: Aug 29, 2012 12:51:23 AM
取っ掛かりはよいが進化はたいへんと思う方へ
今のコンピューティングというのが、デスクトップPCにインストールするとか、組織内のサーバーとか、ク ラウドとか、モバイルなクライアントでHTML5の実行などの複合に向かっていて、従来のようにパッケージソフトやシステムを売り歩こうというのは難しいだろうことを、記事『変化するコンピューティングへの戸惑い』で書いた。そう考えたのはひとつの課題があったからで、例えばタブレットで従来の紙の分厚いカタログに代えて簡単に操作できるものを作ろうとすると、商品データと、ビジュアルと、索引と、ECを組み合わせたものとなる。この設計はどのようになるのだろうか?
WebのECならばクライアントはHTMLで操作部分を作るだけで、あとはサーバでできることだが、タブレットでeBookのようなカタチで電子カタログを使えるようにすると、タブレットにダウンロードしておくビジュアルや商品データと、Web側の同期とかが問題になる。まず電子カタログをパラパラ見やすくするためにはタブレット内で高速に検索する機能が必要になる。PDFではRDBを内蔵しているので、ePubなどでも同様のことは求められるだろう。あるいはオモテはPDFでウラに独自のUIとか、動画、リンク、ECなどをつけるのかもしれない。タブレットのクライアント側に新規のアプリを全部作りこむのか、既存の技術を組み合わせるのかという問題である。
ePubのようにパッケージ化したデータは、Webのように更新がされないので、それを補う必要があり、タブレット側で起動した際にRSSのような形でサーバにアタッチして更新情報を自動的に取得できるとよい。それも更新部分のフルデータをタブレットに持ってくるのか、索引だけを持ってくるのかというのは、ケースバイケースであろうから、どっちもできるのがよい。もしPDFのDBを使っていると、更新部分のデータ検索は操作方法が異なるものとなってしまう。ページめくりのための検索と、詳細情報・関連情報などEC向けの検索を分けて設計するという方法もあるだろう。タブレットのソリューションに定番はまだないので、複雑に考え出すとまとまらなくなってしまう。
とりあえずの電子カタログはPDFやjpgのパラパラめくりからスタートしたとしても、次のステップに進化できないような電子媒体であると、先のビジネスはないのだから、自分の能力に沿ったロードマップも同時に考えていかないと、今の営業努力や顧客との関係は近未来に無に帰すことになる。従来のITビジネスが伸びないのは顧客とともに成長できなかったからで、ビジネスをしている顧客が成長するのにSIerは追いついていけなかった。AmazonやeBayなどSierの提供するソリューションを超えた独自の工夫をするところがIT時代を引っ張っていくようになったことを考えると、IT業者の上から目線的な提案が空手形に見えてくる。それよりも顧客と一緒に問題解決を考えてくれる開発者が求められているといえる。