投稿日: Nov 14, 2013 12:51:14 AM
コンテンツ流動化の施策も必要
TPP知財交渉で保護期間を70年に延長するかどうかで議論が続いているが、一方で50年でも長すぎて70年に延びても同じだろうという見方もある。つまり50年から70年に変えたところでデメリットは特にないだろうという意見である。本当の問題は、著作物保護期間を法律で一律に決める必要があるのかどうかなのではないか。
今でも最初からccとかCopyLeftとかパブリックドメインを宣言した著作物はあるし、そもそもコンテンツの性質から賞味期限が短く限られている著作物も多くある。つまりそれぞれの著作ごとに保護期間は異なっても構わない性質のものである。だから本当は保護期間は著者本人が宣言をして、それを有効とし、ただし本人が1000年保護を主張していても死後は最大を50年とか70年にするというような柔軟な制度ができないのだろうか。
また死後に関しては生前といろんな状況の変化があるだろうから、遺族の意思を反映させて、保護期間を緩めることも可能にするのがよいと思う。例えば<until…>というような表示を決めて、本人かあるいは死後は遺族が著作物に<until2020>とか表記すれば済むように思える。
過去の作品で表示のないものは、デフォルトで50年とか70年になるのだろうが、遺族が保護期間を緩められれば、コンテンツの流動化につながるのではないだろうか。特にクリエーターが未発表のままにした作品は、売れなかったとか何らかの理由があるものだろうから、それらも保護対象にしてしまうと更に数十年の間はほぼ日の目をみないままのお蔵入りになりそうである。
写真の場合は撮影した本人が意図したかどうかとは別に資料的な価値があるものが多く、例えば海岸の様子などが過去にどうであったかなどを知るには多くの写真が人目にふれた方が社会的に意味があることになる。社会学者なども写真を研究資料にしている。こういうアーカイブを盛んにするためにも、今まで遺族のもとで眠っているコンテンツが公開されやすくすることに意味がある。
社会全体の損得を考えると、そもそも何十年も保護しておいて、その間に経済が回るようなコンテンツは本の少ししかないのだから、その少しのコンテンツのビジネスを支えるために、その他莫大なコンテンツが眠ってしまう制度というほうがおかしいのではないかと思う。
TPPはそもそも経済の協定なので、一方で別の視点の協定も話し合わないと、経済優先の非常にいびつな制度ばかりになってしまう。