投稿日: Dec 17, 2011 12:22:23 AM
どこにチャンスがあるのかと探している方へ
検索技術がpullであったのに対して、個人属性へのマッチングを行いやすくするソーシャル技術はソフトなpushになり、検索からソーシャルに主役が入れ替わるというよりは、補完するようになると考えた方がよい。このソーシャル技術を巡ってはまだこれからが戦いの本番であって、今facebookの利用者数が最大であるとはいっても、Googleの検索技術のようなレベルものには達成していないと思える。従来の検索がサイトとかコンテンツという非人格的で静的なものが対象であったのに対して、ソーシャル技術の対象は生きている人間同士の可変な関係性という動的なものなので、検索技術よりもずっと高度なものが必要なはずであり、しかも悪用を防ぐために個人情報やセキュリティという社会的制約も強くなるという2面で、大変な挑戦になるだろう。
だからソーシャル技術で何か良いアイディアが浮んだとしても、今のように「あると便利」とか「面白い」アプリがチョコチョコ出ている程度では、大きくブレイクすることを期待するのは、かなり無理がある。検索がいかに広範に使われるようになったかを考えると、検索で大きなビジネスが育った理由はわかるが、それは殆どGoogleが中心であって他社が太刀打ちできないところまで来ている。Googleが利用者のPCのクッキーなどから閲覧属性を解析して、利用者の興味/関心と、性別年齢など推定のユーザー属性を割り出しているが、これが結構当たっている。自分がどのように分析されているかは、ココの『ウェブ上の広告』のところに出てくるが、私の場合は95点くらいあげてもよいほどであった。
記事『eBusinessの王道』ではeBayのオススメが飛躍的に良くなったことを書いたが、何が凄いかというと、独自に大きなデータセンタを持っていて、利用者の購買意向などのデータを過去何年にもわたって分析してきたからである。日本で楽天とかYahooなどECの大手でも自前で巨大データセンタを持っているところはない。しかも分析アルゴリズムはすぐにできるものではなくeBayで見る限り数年がかりで作ったと思われる。今のところeBayのようなpullのECがソーシャルメディアの世界にpushで打って出るという話はないが、これくらいのスケールの開発が既に進んでいるのだということを知っておかなければならない。そこに安直にビジネスの機会を期待するのは間違いだ。
それとECのような検索によるpullと、主婦対象にチラシを折り込むpush、さらにケータイやスマホで登録者に配信するネットスーパーのソフトなpushは、冒頭のように補完関係にあるので、ケースバイケースで使い分けられるべきものである。お店では例えばセールの商品の8割はチラシと店頭でさばくと考えると、残りを売り切るのに他メディアを使うことになる。ネットではチケットやホテルの空き室など、残数の少ないものでも売り切ることはできるし、アウトレットのような在庫処分もできるので、経営改善には組み合わせ方が重要である。Googleなどが行うグランドプラットフォームの開発には手は出せなくても、Googleやfacebookなどと組み合わせて使えるアプリプラットフォームというのが、ソリューション開発のテーマになるだろう。