投稿日: Jul 24, 2014 12:41:2 AM
なぜ安売り競争になるのか
松屋の牛丼が値上がりしたとかで息子が嘆いている。私も体の成分の3分の1は松屋でできていた時代があったから、他人事とは思えないのだが、これで松屋を見切ってしまうよりも、回数を減らして松屋にいく楽しみは保ち続けるのが松屋ファンのとるべき道だろう。松屋もファンが急にそっぽを向くことはないと踏んで値上げをしたのであろう。値上げの値段差が気にならない人は回数を減らさないだろうが、貧乏人が回数を減らすのは折込済みの値上げのはずである。
何でも安くすれば、よりたくさん売れてビジネスがうまくいくという考え方は、市場シェア最優先の戦術であって、たいていのビジネスはすぐに行き詰まりになる。ヤマダ電機にしてもライバルをなぎ倒して店舗数を1番にするには安売りが効果を奏するにしても、一番になった折には無策状態になる。急にブランド志向にしてもだめなことは、この種のいろいろなチェーン展開での失敗例を見ればわかる。
100円ショップは逆に200円や500円の品揃えを増やしているので偉いように思う。100円ショップが争って、99円、98円、97円…とは値下げしていかないのである。つまり100円ショップも当初の安かろう悪かろうの時代は通り過ぎて、価格に対する価値が高いというイメージを確立しつつあるのだろう。
世の中には安い商品も必要である。たとえ寿命が短くてもそれでいい用途もある。ちょっとだけ必要な場合もある。こういったものは以前は過剰に買わざるを得なかったのだから、それだけでも100円ショップの価値は高い。つまり100円という安さよりも100円以上の価値を提供するということならば、立派なビジネスである。
アメリカ流のマーケティングは私にはしっくりこないものが多い。今1個買うともう1個ついてくるとか、SAVE!、何%off、なども、もう生活者はそのカラクリを知っていて、一時のカンフル的な販促効果しかないのに、未だに続いている。こういう販売面で値段がグズグズになってしまうのを補完するためなのか、仕入れを極力絞り込むことをしていて、世界で一番安い材料を確保しようとする。アメリカでは不法入国者を最低賃金以下で雇うとか、アメリカ人の賃金は生活保護が受けられる程度に安く抑えるとか、アフリカにおいては子供が学校に行かないで農園で働くような収奪・搾取のようなことがいまだに行われている。
中国の食材が問題あるとか、ブラジルの鶏が抗生物質づけとか、こういうことを許容しているのは、販売価格をグズグズにしているアメリカ流マーケティングに原因があるのではないかと思う今日この頃である。
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