投稿日: Nov 05, 2011 1:6:54 AM
ネットサービスを充実させたい方へ
もう10年以上も電話帳を開いたことはないのだが、特にイエローページというのはいろんなビジネスヒントの塊なので、暇な時に目を通す価値はあるものだった。その第一の特徴は産業分類とか職業分類の方法で、国の統計上の分類よりも社会の実態に沿った分かりやすい分類になっている。これは時々見直されていて、分類を細かくしたり統合したり名称を変えたりして、時代に合わせてきた。これは電話会社の方では各分類ごとの加入者の増減を見ているからできることで、年ごとの増減や新規加入者の情報は別途使われている。これらに長年携わった人がいて、国の統計とは別にインフラ的なマーケティングデータにもなっている。
これらは今日ではポータルサイトの仕事になのかだろうが、ポータルサイトが世の中にどれだけマーケティングデータをフィードバックしているかは知らない。またポータルサイトでの産業や職業の分類がどのように検討されているだろうか。これは電話帳に限らず、紙の媒体の時にはメンテナンスされていた情報とかノウハウが、一見するとネットで代替されているように見える裏側で失われているものもある。もちろんポータルサイトになったために、電話帳以上にできることはいっぱいあるが、それはポータルサイトのビジネスにつながるから行われるわけで、電話帳による産業分類研究のようなビジネス外の要素はまだ何があるのか分からない。
2011年3月の東北大震災のあとで、ポータルサイトが緊急な情報流通に役立ったが、これはハイチ地震の際の経験からどのような対応をすればよいか学んだから対応できたものである。このように既存のビジネスの裏側でいろんなノウハウを身に付けていくことが、何かあった際に社会貢献できるだけでなく、何らかのニーズと自分のノウハウがマッチングして新たなビジネス分野を切り拓くことにつながる。NTTのiタウンページよりも、ぐるナビとか食べログが発達したように、実は紙のメディアの長い歴史の中で得た情報の活用法は、デジタルメディアとしてあまり活かすことができなかったわけで、電話帳もその例である。
しかしポータルサイトもネット上の情報サービスも今のまま留まっているわけにはいかなくて、どんどんサービスの進化をしなければならない。その原動力は何処から来るのか。電話帳の編集過程にはマーケッティングのインフラ的な情報が湧き出ていたように、今のサービスを充実させていく中で、今のビジネスとは別の視点で価値を見つけられるかどうかが鍵ではないか。ネット上の情報サービスもじっくり腰を据えて行うところでないと、自らの価値を再評価することはできないだろうし、それを踏まえない新規ビジネスは根無し草になりやすいし、外部からも唐突に見えるかもしれない。