投稿日: Jul 13, 2010 12:6:5 AM
コンテンツホルダーがどうすればよいか見えてこない方へ
今年のデジタルパブリッシングフェアは大変な盛り上がりであったが、セミナーや展示への動員数はともかく、出展社の顔ぶれを見るとやや偏りがあるように思える。それは大手印刷会社の大ブースが象徴するように、既存の出版社というお客様向けのサービスが主にみえるからだ。つまり出版社しかデジタルパブリッシングしない時代を想定しているならともかく、コンテンツホルダーは世の中の隅々まで居て、どんな田舎でもデジタルで情報を作り加工している時代を考えると、ロングテール、crowdソーシング、ソーシャルなメディアと結びついた出版ビジネスの話があった方が面白いが、あまりにもオーソドックスで主催は電書協だったのかと思われても仕方がない気がした。
ただし併催された教育ITソリューションEXPOの方はタイトルどおり、eLearningや電子黒板などデジタル授業環境、学校業務のサポート、セキュリティシステムなど、コンテンツ以外のビジネス基盤に関するものが取り扱われていて、こちらの方がデジタルパブリッシングフェアよりも規模が大きい。この両者を足すと、つまり参加者は両方の展示を見るとうまく補間関係になるかというと、そうでもない。学校業務サポートのITビジネス基盤と、コンテンツホルダー向けのビジネス基盤は異なると思う。デジタルパブリッシングフェアでは大手印刷会社やGoogleや方正などがビジネス基盤までサポートするであろうが、それらを選ばないコンテンツホルダーがどうすればよいのかが、まだ見えてこない。
デジタルパブリッシングフェアのメインは表示・表現系のシステムで、その制作システム、コンバータ・データ処理ツールなどが以前から出ているが、どうもその分野の出展は増えてはいない。それは展示の雰囲気がオーソドックスな出版なのでケータイ向けも含めてキワものは出展しにくい雰囲気があったのかもしれない。Blog出版や地図コンテンツやGPSは減っている。しかし今iPhoneやiPadで動いているコンテンツは出版の王道からすると思いっきりキワものかもしれない。その世界とオーソドックスな出版をどう結んでいくのかというのはテーマにはなっていないのかしら。
なかなか旧来の出版社では、今までと異なる方向性とか経営の転換をしずらいのは傍からみても明らかなので、挑戦を促すような提案はビジネスになりにくいことはわかる。しかし小さな出版社はベンチャーなことがやりやすいはずだから、出版ベンチャーを鼓舞して、時代にあった新たな発想でコンテンツもマネジメントも見直すヒントとしてのイベントもあったらいい。つまりこれからeBookの新たな市場を一緒に開拓して行こうという事業者とベンダーのパートナーシップを作り出す場としてのイベントである。無難なビジネスとしての既存のメインのお客様を中心にしたことを考えると、デジタル「おんぶにだっこ」フェアになってしまうのではないか。