投稿日: Mar 14, 2015 1:8:57 AM
最近はやはりスマホは画面が大きい方が売れているらしく、ウチの奥さんは大きいスマホにして電子書籍を読むようになったし、子供は大きいスマホで将棋にハマるようになった、両方とも小さいスマホでもできなくはないものではあるが、「使い心地」が大画面で向上したというのが理由だろう。音楽も携帯音楽プレーヤーをやめてスマホに小さいアンプをつけて移動中も聴く若い人がいる。この場合はアンプというのが「使い心地」のキモである。
しかしこういった「使い心地」というのはまだ工学的には解明されていないテーマで、あくまでデバイス開発の段階では「できる/できない」のレベルの判断しかしていないと思う。そこにスティーブジョブスのような感性の人が居れば、「使い心地」の点からダメ出しができたのだろうが、一般の電化製品では機能設計は可能でも「使い心地」のデザインまでは手が回っていなかったと思われる。
つまり消費者の側からすると、カタログスペックとして何ができるということは理解できても、実際に使った場合の満足感とかストレスに関してはカタログからは読み取ることはできず、やはり利用者のクチコミが重視されて、結果的に日本ではApple製品が売れてしまうことになったのだろう。別の言い方をすると、Apple製品は利用満足度が高くなるように製品のブラシアップに時間をかけていたわけで、そこに少々コストがかかったとしてもモトはとれるようにしていた。最初にiPodを出した際のケースの金属加工であるとか、いかにも評判を取ろうとしていたことがわかるし、それは今のAppleWatchにも通じる。
そういう面で高い評価が広まった後に普及品の製品ラインを送り出し、そこではそのような過剰品質にならないようにコストダウンも十分図って利益が出るようにしている。そういう戦術をみていると「使い心地」という曖昧な尺度ではあっても、製品のライフサイクルや、そのライフサイクルにおける主要アプリというのを綿密に計算していたのだなと思える。ただしAppleと言えども神様ではないから、デバイスが使われていくうちに登場する新たなアプリでの使い心地までは考慮されてはおらず、スマホの大画面化には少々遅れを取ってしまったかなと思う。
スティブジョブズ後のAppleは有名なアクセサリブランドの人を採用するとか使い心地のよい製品メーカーを抱き込むなど、ジョブズが築いた戦略を踏襲しようとしていることが分かる。だから新製品のうちは利用満足度の高い製品を世に送り出すことができるだろうが、それらが使われていくうちに起こってくる技術革新の波に対応した、アプリに関する使い心地はどうなるのだろうか?以前にAppleの地図アプリが笑いものにされたことがあった。またアプリ面でも革新もしばらくは見られない。ここがAppleの課題なのではないだろうか?
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