投稿日: Apr 19, 2011 11:53:56 PM
販促中毒から抜け出したい方へ
フラッシュマーケティングの日本・アメリカの動向の本を書いておられる谷内ススム氏(イノベーティブプラットフォーム)が4月19日に話しておられた。結論からいうとアメリカでの共同購入型クーポンの進化の過程からすると、派手な販促の手法としてだけではなく、ECの仕組みの一部として定着するもののように思える。
ホットペッパーに代表されるクーポン割引広告をどこのお店でも行うようになると、みんな一律に料金を下げたような格好になり、自分だけそれをしないわけにいかなくなるという中毒状態に陥る。そして儲かるのは広告媒体だけになるのではないか? いっせいにクーポンから手を引く方法はないのか? などといわれていたところにグルーポンのような共同購入型クーポンが登場し、昨年ネット・ケータイで購入する割引クーポンが日本でブレイクした。結局は今までフリーペーパーに出ていた飲食店やエステ・美容院などの販促は相当クーポンでも見られるようになった。
これらはメルマガを出すとかネットで露出するものでフリーペーパーほど無制限に羅列されるものではなく、一応 OneDay OneArea OneDeal という原則があり、露出スペースのある一定部分は自分のためにあるような形になる。しかしクーポンサイトが一挙に増えてしまったので、年中似たようなクーポンが氾濫している状態になる。これで結局はフリーペーパーの時の販促中毒がネット上に移っただけではないかと判断してしまうのは早計である。むしろ昨年は共同購入型クーポンを短期に拡大したので、たまたま既存のクーポン広告出稿主に集中して営業をかけてしまったということだろう。
一般には、店の評価と顧客のリピートが積み重なるような、利用者と店のよい関係を作るために広告や販促に投資するのが望ましいのだが、それがあてはまらないこともビジネスにはある。その典型は通りすがりから新規顧客を捕まえるようなところで、割引にだけ着目して入ってくる客もいる。店側が割引以外の商品を買ってもらうことやリピータになってもらうことを望んでいるのに、客はバーゲンハンターであったりするとがっかりだと考えがちだが、こういったところの調整が可能なのが共同購入である。つまり共同購入の適用は日時を限定することができるので、繁閑期の料金を変えるとか、在庫処分の売り切りとか、ホテル空室やイベント集客の埋め合わせのために、損をしない程度の値段で売るコントロールが自分でできる。
メインの商品やビジネスの稼動率を上げるためとか、アウトレット的なビジネスを効率的に行うのに、ほっておくと商機をのがしてしまいそうなものを基幹システムから抜き出して、共同購入にもっていって現金化し機会損失を防ぐような仕組みが考えられるだろう。今後とも共同購入の花は新商品・サービスへの誘導なのであろうが、ちゃんと理由があって「お得」という情報を、堅実・賢明な消費者向けに発信するメディアとしての道がネットでの共同購入に合っているように思える。