投稿日: Apr 19, 2012 12:41:30 AM
ポスト・ケータイの市場を狙う方へ
夕方になるとマクドナルドのようなところに下校時の若者が多く集まっていて、おしゃべりやゲームや宿題をしている光景を良く見る。社交がこういった場所で行なわれることが現代のライフスタイルのひとつになっている。友達を何人も呼びにくい住宅事情もあるし、親が働きに行っていて友達をもてなすこともできないこともある。その影で減ってしまった商品というのもいろいろある。一人で漫画を読むということも、おやつに菓子を買うのも減っているだろう。小遣いが決まっている中で、社交への配分が多いことは、ケータイなどの支出が本よりも桁違いに大きいことからもわかる。
ただし文字を読む趣味の若者の比率自体は減ってはおらず、自分の趣味というよりも人との付き合い上で付和雷同的に読む人が減ったために本の流通量が下がったと考えられる。図書館や古本も含めてライフスタイルの中の読書がどうなっているかを考えなければ、読書をする層へどうやってデジタルコンテンツを送り届けるかのアイディアは出てこないだろう。これは出版社から書店への一方通行で本を流すビジネスからは不可能な取り組みである。
しかし読書スタイルというのは非常に多様である。つまりどんな人が、どんな動機で、いつどれくらい読書するか、ということであり、書籍がカバーする範囲が人間のあらゆる領域にわたっている以上、スタイルをパターン化する答えは書籍のバリエーションと同じようにある。つまり書籍の企画とは読むライフスタイルの想定も一緒で無いといけないはずのものである。ところがそういうことをじっくり考えないで、資金繰りからどんどん新刊を出すという事情があって、マーケティング的には負のスパイラル落ち込むことがある。逆に今日でもうまくいっている出版はライフスタイルにうまくはまっている例が多い。
若者が接する情報の中で、ネットで探して情報交換して、ネットで手に入れるデジタルコンテンツの比率が増えるにしたがって、今までは異分野であった音楽やゲームやアニメや書籍・雑誌というのが同じ土俵でビジネスしなければならないことがふえている。これまでのメディアの垣根が崩れるというだけでなく、メディアの売り方も相互に意識して影響しあうようになる。どのようなデバイスに、どのようなクオリティで、どんな値段設定で、どんなサービスを加えて、というような企画をするのに、他メディアの動向もつかんでおかなければならないのである。
関連セミナー 『今、TVを見ているのは誰だ』1万人調査データでフォーカスする顧客行動 2012年4月25日(水)