投稿日: May 03, 2014 12:46:52 AM
食文化を問い直す
ゴールデンウィークといえばホームセンターが混雑する。特に園芸関係は年間のピークとなる。昨年はゴーヤを初めて植えたが、今年はきゅうりとかもっと野菜として価値の高いものを植えようかと思う。最近はいろんな野菜の苗を売ってるし、ネットで育て方の情報もいっぱいあるので、おそらく家庭で野菜を作るのはもっと盛んになるだろう。
LED灯と水耕栽培なら観葉植物のように室内でも野菜を育てることができるようになる。ちいさな子供が居る家庭なら、植物の生育過程は子供の興味もひくであろうし、それが食べられるとなると喜ぶだろうし、好き嫌いの感覚も変わるかもしれない。
これは戦後の日本で都会に人口が集中するとともに失われた「あるもの」を取り戻しているプロセスではないかと思う。ヨメの実家が隣接地を駐車場として購入した際に半端に余った土地にジャガイモを植えたらたくさん収穫できたのでおすそわけをもらったことがある。庭を菜園にした人からもおすそわけをもらうこともある。育てる楽しさ、作って食べる楽しさ、シェアする楽しさ、などなどを考慮すると、もし売っている野菜の値段よりも若干高くなるとしてもやりがいのあることになるかもしれない。
日本はヨーロッパに比べると降雨量は倍あって日照も多く、生態系も多様になった。そこに自然と親しむ楽しみも多く生まれ、また自然と共生する考え方や感覚も生まれている。自然条件の厳しい土地の文化は過度に防衛的になりがちだが、日本人はそうならずにあけっぴろげになる。そういう日本の特性を再認識するためにも、日本の文化の基底にある自然環境をよく知るべきだし、そのために植物をいろいろ育ててみるのは役に立つ気がする。
例えば農業というのは世界中にあるとしても、その土地柄によって様相は変わるものであるし、そのことを踏まえないでキロ幾らトン幾らというだけで農業政策をするのはおかしい。日本の農業はTPPで方向転換を迫られているのだろうが、それはアメリカに押し切られることで終わるのではなく、日本の農業や食生活を問い直すきっかけにもなるのだろうと思う。つまり世界で和食が着目されているとすると、それは健康という面からであって、キロ幾らトン幾らという尺度ではないのだから、日本流のスローフード文化を世界に知ってもらう機会になる。
日本の農業を輸出できるほど強くする政策は、高付加価値だけではなく、日本が食文化情報の発信拠点とならないと始まらないように思う。